貧しいおじいさんが週に一度の楽しみにしている、本当にささやかな夕餉のミルクと肉でした。
その楽しみを、雪の中から突然やってきた黒ねこがとってしまいました。
遠慮することを知らない黒ねこは、次々に催促しておじいさんからみんな取り上げてしまいました。
おじいさんの心を考えました。
おじいさんにとって、なけなしの食べ物をすっかり与えてしまうことには、葛藤があったでしょう。
そんな人間らしさが印象的でした。
自分のことを後回しにしたおじいさんの優しさ。
寒さと雪でボロボロになった猫が、元気になっていく姿に自分を納得させたのでしょう。
翌日、おじいさんは元気に出ていくねこに足跡がつかないことに不思議を感じます。
そして無くなったはずのミルクも肉も出てきたのです。
ねこは神様だったのでしょうか。
それにしては、つつしみのない黒ねこでした。