アメリカ、イギリス、中国、オランダ、フランス、インドなどの不思議で恐ろしい民話を10編収録。
電気も水道もないような時代。それぞれの国に「王様」がいた時代。人々の暮らしは今とだいぶ違っていて、挿絵で当時の世界を空想しながら楽しく読んだ。
意地悪な兄弟に悩まされたり、身勝手な行動をするお姫様などは、現代でも通じるものがある。必ずしもハッピーエンドというものでもなく、どうしてこんな変な終わり方をするの?という話もあり。
有名な人が出てくるわけでもなく、人気のキャラクターやかっこいい絵などで読者の興味を引くわけでもなく、純粋に「物語」で勝負する民話の世界。話の展開が面白く、一気に読み切ってしまったのは、やはり長年語り継がれた話の魅力だろう。
中でも印象に残ったのは、中国の「化け狐と少年」
霊力を自慢しているお坊さんが、化け物にあっさり負けてしまうのがおかしかった。威張っている人は実はたいしたことがない、という見本のようなもの。
「箱の中のしゃれこうべ」は、奇妙な話で印象深い。
死後、自分の頭が自宅に保管されることを、生前から熱烈に希望するお嬢さん…という、かなりサイコパスな人物によって、一族が振り回される話。今なら事故物件。でも、イギリスではお化けが出る家は逆に人気があるとか…
この物語を読みながら、インターネットなどで外国の風景の写真を見たりしたら、もっと雰囲気が盛り上がるのだろうか?
それとも、リアルな資料がないほうが、逆に話がどんどん面白い形にイメージできて楽しいだろうか?