昔、愛読していた絵本情報誌で、ビネッテ・シュレーダーの特集をやっていました。
そこで新刊として紹介されていたのがこの絵本。
とても美しい絵だったので、本屋さんで見つけて大喜びで手に取りましたが、かえるが王子に変身するシーンがあまりにもグロテスクなので、怖くなってしまい、それっきり手に取ることもありませんでした。
最近、またビネッテ・シュレーダーの絵本が見たくなり、久しぶりに読んでみました。
相変わらず変身シーンはグロテスクだと感じますが、直視できないほどではありませんでした。
しかし、今度は文章やお話の展開が気になるのです。
このお話、登場人物にまったく感情移入できないのです。
お姫さまはわがままですし、かえるはあつかましいし、読んでいて嫌な気持ちになるくらいです。
おまけに、かえるの時はお互い嫌な性格なのに、王子になった途端、すべてが丸く納まってしまうのはどういうわけでしょう。
私が小さい時に、もっと可愛らしい挿絵の絵本で読んだ時も、小さいながらも、「なんでお姫さまは、かえるにいじわるだったのに、王子になった途端に親切になるんだろう。自分のしたことが恥ずかしくないのだろうか」と疑問に思ったことを覚えています。
ただ一人「どんな者とでも交わした約束は絶対に守らなくてはいけない」という態度を貫く王さまだけが立派です。
でも、主要な二人が現金な性格だとも思えること、そして忠実なハインリヒのくだりなど、ちょっと他にはないおとぎ話として、妙に気になる絵本ではありました。