絵本の紹介本で、他の本は2冊ないしは4冊で1ページ使っているところ、この本1冊で堂々1ページ使って紹介され、絶賛されていた本です。
紹介文が結構重かったので、興味はあるものの、なかなか手に出来ませんでした。
今回初めて読んでみたのですが、思ったよりずっと読みやすく、しかも深い感動がありました。
そして、あまり見たことがないスタイルの、「骨太で壮絶な絵本」でした。
1匹の赤毛の小型犬が生まれるところから始まり、その犬の一生を描いています。
最初人間と一緒に暮らしていたのに、オオカミに拾われてオオカミとして育ち、そしてまた人間と暮らして、最後には壮絶な死が。
犬としての人間との柔らかで幸せな時間、そしてオオカミとしての強さと狩と戦いの時間、どちらも彼にとっては真実で、充実した自分の人生だったのです。
だから、人との柔らかなふれあいを心地よく思いながらも、最期の時は、オオカミとして決然として死に向かうのです。
1ページの文章量が少ないので、どんどんページを進めることができます。
それは、読みながら、一緒に彼の人生をたどっていく作業でもあります。
死ぬ間際に、彼が自分の人生を振り返って豊かで素晴らしかったと喜ぶところは、圧巻です。