ドイツの収容所に関するお話は、これまでにもいろいろありました。
600万人もの犠牲が出ているのですから、それだけ多くのエピソードがあって当然です。
その多くは死んでいく内容が含まれており、子供に読むには重く辛い内容です。
この作品では、直接的には死ぬ内容はありません。
主人公の「エリカ」は、大いなる両親の愛情に包まれ、驚くべき方法で九死に一生を得たからです。
「エリカ」が生き永らえられたことは、本当に奇跡で、生きてくれていて良かったと思わずにはいられません。
けれど、「生きていたから良かった」とは言えない歴史の深さが、作品全体から感じられます。
これからを生きていく私達、そして子供達は、戦争体験のお話を本や映像でしか知り得なくなる時が来るでしょう。
その時に、こうした作品は、とても重要な意味を持つ、そう思います。