6年生の娘の教室で『オットー 戦火をくぐったテディベア』を読んだ次の日、娘がこの本を絵本の紹介本で見つけ、図書館で予約してきました。
どちらもナチス・ドイツの出てくる話です。
この絵本は、全体的にモノ・トーンで描かれているのですが、ユダヤ人の星のバッジの黄色と、赤ん坊のエリカがくるまれた毛布の桃色だけが色付きで描かれています。
また、人々の顔は描かれず、後ろ姿や、下半身だけが描かれています。
それが、静かな中に何か重いものをこちらに投げかけてくるような気がします。
娘は、真剣に読んでいました。
一読では、「結構あっさりしてる」という感想でしたが、3日間くらい頭から離れないという状態でした。
確かに、前半、エリカ一家が電車に乗せられて、両親がエリカを窓から投げるまでは、とても細かく描かれているのに、エリカが親切な人に拾われてからのことは、あっさりと描かれています。
ユダヤ人であるというだけで、強制的に死に向かう列車に乗せられてしまうこと。死に向かう中で、1パーセントでも生への希望があるならば、我が子だけは、その可能性にかけようとする凄まじい親の愛情。
この絵本が訴えたかったのは、きっとそこなのでしょう。
割と静かに語りながら、訴えてくるものの多い絵本です。