花が大好きで、心優しいなめくじのニュッル。
でも、その姿のせいで友達が誰もいません。
「せめて、かたつむりのようにカラがあったら・・・」
みんなから隠れるようにして、ひっそりと暮らすニュッル。
ニュッルの孤独、生きにくさがせつせつと伝わってきます。
(こんなに気立てがいいのに。ニュッルの愛らしさには胸キュンです。)
でも、クモばんばに出会い、お店を手伝っているうちに
少しずつ自分のよさを見出し、自信が持てるようになっていきます。
「カラがなくてもだいじょうぶ」
ニュッルは、やがてあるがままの自分を受け入れることができるようになります。
ニュッル心の動きが丁寧に描かれていて、とても共感できる作品。
そして、クモばんばがすてきなのです。
どんな人でも受け入れる懐の広さ、さっぱりといた大らかさ
その人の持つかくれた魅力引き出してくれる感性の豊かさが
なんとも魅力的で、ニュッルだけでなくこちらまで癒されます。
自然の情景描写がまたなんとも言えず美しい。
青の時間につんだツユクサの花、朝日にまっかにかがやくスグリの実、春風にふかれた時につんだヤマブキの花・・・
それはそれは美しく夢いっぱいの世界です。
結婚式のシーンなど、もう うっとりとしてしまってその場面にくぎづけでした。
「できるなら本の中に入っていっしょに結婚式を祝いたい!」
そう、思ってしまいました。
読んだ人誰もが幸せな気持ちになれる、そんな作品です。