何故、この福音館版が読み継がれているのか。
絵本の講座で、他のバージョンと読み比べていただきました。
あるものはラストでオオカミが謝罪しヤギたちと仲直り。
あるものは母ヤギが無表情で終始そっぽを向いています。
「これじゃオオカミってばれてるじゃん!」と
子どもが気付くぐらいの矛盾が描かれているものも。
肝心な「オオカミが何度も訪れる過程」を
ごっそり省いてしまった本までありました。
福音館版は一見とっつきにくい色調とタッチですが
ドアの小窓の位置や時計の針が指し示す時刻まで
実は計算しつくされた絵なのだそうです。
絵本を選ぶ難しさを教えられた教科書のような一冊です。