この絵本を読んで、飲んだ牛乳や食べたパンが「ぼく」の一部になるという考え方に驚きました。「なくなっちゃったはずなのに、きみの中にいる」という言葉は、日常ではあまり意識しない不思議なつながりを教えてくれます。
娘も、絵本を読んだ後に「食べたパン、今お腹の中にいるの?」と不思議そうに質問してきました。その純粋な反応が微笑ましく、子どもの心に新しい世界の扉を開いたような気がしました。
この絵本は、芥川賞作家の藤野可織さんが初めて手がけた作品とのことですが、その物語はとてもシンプルでありながら深いメッセージを持っています。「大好きなものが消えても、自分の中で生き続ける」というテーマは、子どもにとっては新しい発見、大人にとってはどこか懐かしさを感じるものだと思いました。
また、高畠純さんのイラストは柔らかくユーモラスで、食べ物や飲み物がとても親しみやすく描かれています。その温かみのある絵が、物語のメッセージをさらに魅力的に伝えてくれました。
この絵本は、ただ読むだけでなく、読んだ後に「自分って何でできているの?」「この世界はどうつながっているの?」と考えるきっかけをくれます。子どもたちにとっては「世界のルール」を知る最初の一歩になるかもしれません。
親子で読むことで、日常の何気ない出来事を新しい視点で捉えられる一冊。この絵本を通して、子どもと一緒に「自分って不思議だね」「世界って面白いね」と感じられる時間を楽しめました。