表紙絵を見て、すぐ手に取りました。
農場で豊かな暮らしをしている老夫婦。
でも、彼らが望むものは、子どもでした。
ある春の夜、大きな満月の中屋根をたたく雨の音に、
「・・・・・・満月の晩に降る雨は月のしずくっていうじゃないか。きっといいことがあるにちがいないよ」
というおかみさんの言葉で、二人は外へ・・・・・・。
雨が二人に降りそそぎ、・・・・・・。
確かに、二人にとって、良いことが起きました。
12人ものちいさな赤ちゃんを草の中から拾ったのです。
二人の可愛がりようは、読んでいても目を細めてしまいます。
水の危険ん・火の危険・地の危険から、12人を守り抜く夫婦の様子を見て、子育てってこういう風にたくさんの試練を与えられるものだな〜って、しみじみ考えさせられました。
ある晩、やって来た高貴な婦人の使い。
12人の赤ちゃんと引き換えに宝石を提示するのですが、夫婦は、・・・・・・。
この後の展開が、そうだったのか〜、そうなのか〜と私を呻らせました。
エンディングが、ハッピーで読み終えほっとしました。
文章は長めですが、灰島先生の翻訳が、美しい言葉で連なっていて、このファンタジーの世界に引き寄せられ、あっという間に読み終えました。
読後今度は、表紙を開いて眺めましたが、夫婦の子どもたちを見つめる慈愛に満ちた表情がなんともいえず、絵も文章も訳も素敵な作品だったと再確認しました。
高学年から、お薦めの作品です。