重版未定は惜しすぎます。私は英語の原書を買い、図書館で借りた日本語版の文章を写しました。うちの子供たちは、この本が大好きです。森に住み、動物たちに手作り料理をふるまっている心優しいボボじいさんは、ある日、へんな動物(この恐竜みたいな動物が「どうつぶ」だと言い張る)に出会います。この意地悪な「どうつぶ」が子供の人形をエサにしていると聞き、ボボじいさんがそれを止めさせる一策を講じる、という物語。全体になんとも言えない不思議な雰囲気が流れています。教訓的、教育的というのではなく、善と悪をビシっと分けるでもなく……読み終わった後、何かが心に残る本です。面白いのは、訳者の渡辺茂男さんが著した『もりのへなそうる』にも「どうつぶ」が出てくることです。出版年を見ると渡辺さんの『へなそうる』のほうが前なのですね。へなそうるとどうつぶ、姿も似ているし、口調も同じです。思い入れを感じます。