ご子息の広瀬弦さんの絵の「かってなくま」が愉快でした。
こちらもくまのお話で、読んだことがないので借りてきました。
昭和59年初版といいますから、講談社さんから出された同名のタイトルの作品より先に出たのですね。
幼年童話のような平仮名使いですが、読後やはり深いな〜と思いました。
真の勇者になる前のくまの躊躇いや恐怖感が、淡々とした文章の中から迫ってきます。
寄り添い見守るねずみの心情も伝わってきます。
5度ほど読み直し、母親となった私の現在の心境で読むと、新しいことにチャレンジするくまは子ども、ねずみは現状の幸せを噛み締める母親にも思えてきます。
先祖が達成したチャレンジに屈した父親の無念を晴らすような心境にも、そんな雰囲気がちらりほらり。
男の子は、父親を乗り越えて男になっていくのかな。
彼らの会話の一文一文が、時に詩的で、時にストレートでとってもいい。
やはり、これは思春期を迎える時期の親子にお薦めかも。
漢字を入れて、文庫本スタイルにでもして、大人向けに再出版して欲しいと思いました。
もちろん佐野先生の挿絵も入れて。