小学1年のしんのすけくん。
オネショの失敗が多いようです。
夏休みに、一人でおばあちゃんちに泊まりに行ったら、やっぱり失敗。
おばあちゃんに、オネショをしたことを打ち明けると、叱られるどころか、「正直だ」と褒められて。
昔おばあちゃんが、ついた嘘の話を聞いて、しんのすけくんは…。
戦時中、食べ物も薬もない時代に病気で失った弟についた嘘。
とても切ない嘘です。
おばあちゃんの ことばが コトリと 音を たてて、ぼくの こころに おちて きた。
この文に、なんて美しい詩的な表現だろうと思いました。
そして、おばあちゃんが抱えてきた、悲しくどうにもすることができなかった後悔の残っている嘘。
しんのすけくんと同い年の弟への思いが、何十年も変わらず忘れられず、おばちゃんの人生と共に歩いてきた事が伝わってきます。
この、自責の念に耐えられぬような、おばあちゃんを救ったしんのすけくんの行動。
泣けて泣けて、どうしようもありませんでした。
明るめのトーンのページから始まり、緑と青をベースとした色使いにため息が出るほど見とれました。
戦時中のページは、単色に近い押さえ気味の色調で、悲しさが良く伝わってきました。
『なんて、丁寧に描かれた一冊だろう』と、完成度の高い作品への感動の意味でもまた涙が出てきました。