歌舞伎絵巻シリーズです。
このシリーズどれもとてもすごいのです。
タイトルで分かるように(?)今回は源氏の「源義経」お話。
ただ“千本桜”というタイトルが個人的には解せなかったです。だって、きっと舞台には桜がたっていたでしょうけれど、この物語そのものには、本当に背景の表記としてちょっとばかり描かれているだけで、
作品を読んでいるとき、私の目に強く残った映像はむしろ、荒々しい海の波のうねりと断崖絶壁でした。
桜を描けたのは最後に「川越太郎」が登場するところだけです。
義経が主人公なので、源氏好きの人にはたまらないお話だと思います。
弁慶も登場しますが、大きな犬か熊が若い大将にすっかり懐いて尻尾を振っている感じのシーンばかりで、このお話の中での弁慶はかっこよくないので、そのへんはあまり期待しないほうがよいですよ。
改めてへぇ〜と思ったのは、義経の正妻の「卿の君」と、愛人である「静御前が結構仲がよかったところでした。
歌舞伎の物語がすごいのは、主人公自身の出来事とは別の方向で同時進行している関係者の時間軸もしっかりと絵かがれているところでしょうか。
なので、この物語は源平双方の、その後の人々の様子がとてもよくわかります。
このあたりの時代が好きな歴史好きの人にもたまらないと思います。
今後、機会があったらこのシリーズを中学生や高校生くらいの子どもたちにブックトークしていきたいと考えています。この作品がきっかけで、歴史やお芝居に興味を持ってくれる子どもたちが出てきたら、素敵ですね〜。