かえるくんは、朝から悲しい気持ちです。自分でもどうしてなのかわかりません。こぐまくんは、そんなかえるくんが心配でならないのですが、ひとりになりたいというかえるくんを、そっとしておくことにしました。
次にやって来たねずみくんは、かえるくんを笑わせようといろいろなことをします。そして最後にかえるくんは元気になるのです、というお話。
私だったら、ねずみくんの努力を煩く感じてしまうのですが、かえるくんの悲しさを拭い去ったのは、結局、人の気持ちを思いやるこぐまくんではなく、うるさいねずみくんの方。なんだか人との付き合いの微妙なところを痛感しました。
それにしても、かえるくん、元気になった途端に、
「さっきは どうして あんなに かなしそうだったの?」
と聞かれた事に対して、
「さあ、どうしてだろ。ただね、そんなときもあるんだよ」
と答えてしまうあたり、かなり現金です。
でも、やっぱり人の心なんてそんなものかもしれません。
ねずみくんの美しいバイオリンの音楽を聴き、思いっきり泣いたかえるくん。それから、ねずみくんと一緒に大きな声で歌ったり笑ったりしたかえるくん。
思いきり泣いたり笑ったりした後は、悲しかったことなんて忘れてしまうものなのかも。
どっぷり悲しみに沈んでいるより、なにかやって気を紛らわせた方が、楽しい時間が持てるものなのかもしれませんね。
娘と、「かえるくんの悲しみって結局なんだったんだ?」と言いながら、「深く悩んでいるつもりでも、案外たいしたことではないのかもしれないな」とちょっと納得もしてしまったお話です。