最近ナンセンスものに走っていたので、原点に立ち戻ろうと、昔話を読むことにしました。
そう考えて図書館で探して見ると、子ども達に読んでいない昔話のなんて多いこと。
このお話も、当然知っているだろうと勝手に思い込み、読んでいなかったものの一つです。
内容は、「つるのおんがえし」ですが、このお話では、つるの気持ちは、“恩返し”ではなく、“温かい心に触れて、一緒にいたいと思ったので、傍に来ました”というものでした。
そこがこのお話のポイントで、とてもいじらしく、つるの切ない気持ちが伝わってきます。
そして、純真な心と、もっと上の暮らしを望む限りない欲望がぶつかり合って、最後には幸せな暮らしが破綻してしまう様子がよくわかります。
最後の天高くつるが飛んでいく場面の絵がとても美しく、読んでいる者に余韻を残します。
派手な展開も、華やかな絵もありませんが、静かな中にも、いろいろなものを訴えてかけてくる絵本です。