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2023.12.14

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命の出会いと別れ……野生動物との交流を考えさせられる絵本『おかえり、フク』<ブランニュープラチナブック>

岐阜県山県市で起きた実話から生まれた、野生動物と人との関わり方を問いかける絵本

  • おかえり、フク

    みどころ

    ある日、崖下にうずくまっているニホンカモシカの赤ちゃんを見つけた、カネオさんとレイコさん夫婦。まだへその緒がついていて生まれたばかりのようです。「メェ」というほそい声に、カネオさんはとっさに上着でくるんで抱き上げました。村中を回りレイコさんが哺乳瓶を探してきて、カネオさんがミルクを飲ませてみると、ぎこちなく飲みます。村人たちも見守ります。

    保護されたニホンカモシカは「フク」と名付けられ、夫婦と暮らすことになりました。ただし期限は一年。ニホンカモシカは国の天然記念物なので、ひとり立ちの時が来たら山へ返すことを、カネオさんは役場と約束していたのです。足のケガも日ごとによくなり、フクは夫婦に甘えたり、元気に遊び回ったりするようになっていきます。
    月日はあっという間に過ぎ、大きくなったフクを山へ戻すことになりました。カネオさんはフクがかわいい気持ちを押し殺し、夜、山へそっと置いていくのですが……?

    岐阜県でニホンカモシカが保護された実話から、生まれたおはなし絵本。巻末で実話の内容が明かされていますが、まさに絵本と同じ。カネオさんたちの愛情や葛藤とともに、フクもまたカネオさんたちを心から慕う様子が絵本で描かれます。
    さらに胸を打たれるのは集落の人々がフクを見守り続けたことです。みんなフクに「おかえり」と言いたい。けれど言えない……。そんなせつない交流が描かれます。鈴木びんこさんがぬくもりのあるタッチで描く、甘えるフク、やんちゃなフク、カネオさんを信じつづける無垢な瞳のフクが印象的です。

    何度山へ連れていっても戻ってくるフクは、最後にどうなったのでしょうか? それはぜひ作品を読んでみてくださいね。命の出会いと別れ。野生動物との交流を考えさせられる絵本です。

レビューのご紹介

涙が止まらなくなる絵本 受賞レビュー

さすがに実話です。胸にジーンと来るものがすごく違って、涙があふれてしまいました。ニホンカモシカにこういった具合い出会えることもまさにまれだと思います。

でもこのご夫婦は本当に優しくて思いやりがあり、素敵なご夫婦に巡り合えたニホンカモシカは本当に幸せだったと思います。出会いがあれば別れはつきものですが、おふたりの別れの時のつらさが伝わってくるようでした。

でも、助けてもらったフクは、絶対おふたりのことを忘れないと思います。また、野生動物と人間の距離ということに関しても考えさせられました。本当に胸が熱くなる本でした。少しでも多くのお子さんにぜひ読んでもらいたい一冊です。この一冊が、これからもしもまた誰かが万が一野生動物とこういった出会いをしたときに、この絵本を読んでいればきっと誰かの役に立つのでは、とも思いました。素晴らしい一冊でおすすめです。

(ピンクちゃんさん)

何度も読みたくなる

実際にあったお話から生まれたそうです。 岐阜県の山あいの集落で暮らすカネオさんとレイコさんは、ある日、がけの下でうずくまっていたニホンカモシカの赤ちゃんを保護しました。 自然に帰すまで、育てることにしたのです。 フクと名付けられて、大切に育てられます。

… お別れの場面はフクと育てたお二人の気持ちが思い浮かび、つらかったです。フクもお二人も本当は別れたくなかったことでしょう。 … でも、離れているけど、ずっと離れていなかったんだと思います。何度も泣きそうになってしまいました。 13年目の夏の場面は、悲しいけれど、温かく感じました。 美しい絵と共に心に響くお話です。

(ぴぴぴあのさん)

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