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絵本紹介

2023.12.28

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みんなのために、未来のために……『いつかきっと』【NEXTプラチナブック】

絵本ナビがおすすめする「NEXTプラチナブック」(2023年11月選定)から、ご紹介する一冊はこちら!

「やってもむだだね」みんなは言う。でも、やってみなくちゃわからないし、できることだってあるはずだ。毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは、『いつかきっと』。世界中で注目されている詩人アマンダ・ゴーマンによる絵本、いったいどんな内容なのでしょう?

NEXTプラチナブックとは…?

絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。

そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。

みんなのために、未来のために……『いつかきっと』

いまは、ひとりぼっちでも

  • いつかきっと

    みどころ

    「どうってことないから、気にしないで」
    「どうしようもないことさ」
    「やってもむだだね」

    みんなは言う。でも、やってみなくちゃわからないし、できることだってあるはずだ。とっても小さいものが大きいものを動かすことだって、あるんだよ。

    「ほんとにかなしいね」

    怖いし、どうしていいかわらないし、腹も立つ。でも、ほんの少しの希望があったとしたら、持ち続けた方がいい。友だちだって助けてくれる。うまくいかなかったとしても、またやり直すんだ。なんどでも、なんどでも。やがて……。

小さな男の子の視点で語られていくこの絵本。存在は小さくても、彼は目の前で起きていることを自分の目で見て、自分で考えて、行動を起こしていきます。

大人たちがすぐに口にしてしまう「どうしようもないことだから」とか、「あいてが大きすぎるから」とか「やってもむだだね」という言葉にたいして、男の子は「ほんとうにそうかな」と投げかけるのです。

ジョー・バイデン大統領の就任式で自作の詩「わたしたちの登る丘」を朗読した詩人アマンダ・ゴーマンと、コルデコット賞を受賞したイラストレーターのクリスチャン・ロビンソンが生み出した絵本に込められているのは、時代を超えた希望のメッセージ。

小さな男の子の信念が、まわりを少しずつ変えていく力となっていく。私たちが今感じている嘆きやあきらめ、孤独や無力感。そういうものに、ゆっくりとじわじわ、でもしっかりと言葉が響いてくるのです。そのささやかで揺るぎない行動に、心を動かされるのです。どうかこの絵本が、子どもたちの、そして多くの大人たちの「勇気」となっていきますように。

編集長のおすすめポイントは……

自分の気持ちにもう一歩踏み込んでみると

世の中はもっと複雑なんだ……なんて思っていた自分にこそ、男の子の言葉はまっすぐに刺さってきます。「かなしいね」という言葉で片付けようとしていたけれど、そこには悲しいだけじゃなく、不安だったり、怒りだったり、様々な感情が色々と含まれているはず。自分の気持ちにもう一歩踏み込んで考えてみると、やるべきことが少しずつ見えてくるのかもしれません。年齢にかかわらず、絡まっていた気持ちを整理してくれる。絵本にはそんな力あるのだということを改めて感じさせてくれる一冊です。

この書籍を作った人

アマンダ・ゴーマン

アマンダ・ゴーマン (Amanda Gorman)

1998年、アメリカ・ロサンゼルス生まれ。双子の姉とともに、中学校教師である母に育てられる。発話障害を抱えていたこともあり、早くから「書くこと」に興味をもち、詩作にはげむ。2021年、22歳のとき、ジョー・バイデン大統領就任式で自作の詩「わたしたちの登る丘」(The Hill We Climb)を朗読。

アマンダ・ゴーマン 作品一覧

この書籍を作った人

クリスチャン・ロビンソン

クリスチャン・ロビンソン (Christian Robinson)

1986年アメリカ、カリフォルニア生まれ。カリフォルニア芸術大学でアニメーションを学び、セサミワークショップやピクサースタジオなどで働いたのち絵本作家となる。おもな作品に『ガストン』(講談社)、『がっこうだってどきどきしてる』(WAVE出版)などがある。『おばあちゃんとバスにのって』(鈴木出版)がコールデコット賞オナーブックに選ばれる。カリフォルニア在住。「ぼくたちはみんな、どこかでつながっている。そのことを今の子どもたちに伝えたい」と語っている。

クリスチャン・ロビンソン 作品一覧

この書籍を作った人

さくま ゆみこ

さくま ゆみこ (さくまゆみこ)

東京生まれ。出版社勤務を経て、翻訳家・編集となる。JBBY会長、「アフリカ子どもの本プロジェクト」代表。青山学院女子短期大学教授。著書に『エンザロ村のかまど』(福音館書店)、『どうしてアフリカ? どうして図書館?』(あかね書房)など。アフリカ系アメリカ人を主人公にした絵本の翻訳に『ローザ』『わたしには夢がある』『つぼつくりのデイブ』『かあさんをまつふゆ』『むこうがわのあのこ』『川のうた』『リンカーンとダグラス』(以上光村教育図書)、『ひとりひとりのやさしさ』(BL出版)、『きみたちにおくるうた』(明石書店)、『イライジャの天使』(晶文社)、『ふれ、ふれ、あめ!』『ぼくのものがたり あなたのものがたり』(以上岩崎書店)、『じゆうをめざして』(ほるぷ出版)などがある。翻訳で産経児童出版文化賞、日本絵本賞、ゲスナー賞などを受賞している。訳書に『ゆき』『シャーロットのおくりもの』(ともにあすなろ書房)、『くらやみのなかのゆめ』(小学館)、『ひとりひとりのやさしさ』『やくそく』(ともにBL出版)など多数。

さくま ゆみこ 作品一覧

磯崎 園子(いそざき そのこ)

絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。

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