絵本紹介
2024.03.30
私の鼻に2つの穴があるように、ゾウの鼻にも2つの穴がある。同じようだけど、本当に同じなのかな? 毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは、『ゾウのはなのあなは、どこまでつづいているの?』。子どもの科学の目を育むこの絵本、いったいどんな内容なのでしょう?
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
私の顔の真ん中には、鼻がある。鼻には穴が2つある。空気をすいこんだり、くんくんにおいをかいだり。
ゾウも、顔の真ん中に、長い長い鼻がある。2つの穴もある。私と同じ。でも、ゾウの2つの鼻の穴は、いったいどこまで、続いているんだろう。
そう言われると、とたんに気になるゾウの鼻。ゾウと人間の鼻の穴、何が同じで何が違う? 子どもの目線で気になる疑問をどんどん解き明かしていってくれるこの絵本。中山信一さんの描く魅力的なゾウとわかりやすい解説の絵に導かれながら、いつの間にかゾウの鼻の秘密が知りたくてたまらなくなってくるのです。
鼻の中は、真ん中に「しきり」があって、左と右にわかれている。そして、のどにぶつかる手前で「しきり」がなくなると、はなの終点だ。ゾウの鼻にも、穴が2つ。でも、こんなに長い鼻の中で穴はどこまで続いているんだろう……。
さきのほうだけ? それとも真ん中くらいまで? それともそれとも……。うわあ、気になって仕方がない! 見てみたい!
なんと。ゾウの鼻を輪切りにしてみると、こんな風にまるい穴2つがぽかんとあいているのです。鼻はどんどん太くなっていくけど、鼻の穴の大きさは、あまりかわらないみたい!?さらに穴は口の上までやってきて……。
ゾウは鼻を使って空気を吸ったり、においをかぎわけるだけじゃなくて、水を吸い上げたり、高いところの草をつかんだり、仲間とあいさつをしたり、情報の交換だってする。
「ゾウは、鼻で生きている!」
「なるほど」「そうなっているのか!」にあふれているこの絵本。興味をひきつけて、想像力をふくらませてくれる魅力的な絵を描いているのは中山信一さん。子どもたちの科学の目を育んでいってくれることでしょう。巻末には、高岡昌江さんによる「鼻がぶきっちょうなゾウ、ラニー博子さん」のお話も。ゾウのこと、鼻の穴のこと、もっと知りたくなってくるのです。
ぞうは「はな」だけじゃなく、「はなのあな」もながーいのだ!
言われてみれば納得のこの事実。だけど、そもそも鼻の穴がどこまで続いているかなんて、考えたこともなかった気がするのです。作者の高岡さんは、ゾウの「はな」を輪切りにした標本を見た時に、宇宙のようなその2つの穴に引きこまれ、知りたくなったのだそう。思わぬ出会いがあった時、そこから何を発見したり、どんな考えにつながっていくのか。そんな力がついてきたら、世の中がもっと面白く見えてきそうですよね。
この書籍を作った人
1986年神奈川県生まれ。イラストレーター。広告や書籍、アパレルグッズなど幅広い分野のイラストを手がける。絵を担当した絵本に『うそ』(主婦の友社)、『音でよむ昔ばなし1 ももたろう』(文響社)などがある。またラッパーとしても活動しており、HIPHOPユニット「中小企業」やソロによる音源、アルバムも発表している。
この書籍を作った人
1966年愛媛県生まれ。編集者・ライター。おもに子ども向けの本づくりをしている。『ほんとのおおきさ動物園』『動物のおじいさん、動物のおばあさん』『すごいな、お母さん! どうぶつのおっぱいずかん』(以上 Gakken)、『ラッコのたんじょうびケーキ』『こんにちは、キリンのあかちゃん』(以上 ほるぷ出版)、『セミとわたしはおないどし』(福音館書店)などの著書がある。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。