日本語版刊行30周年♪想いのつよさをくらべっこ♥
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ショーウィンドウでゆれているのは、魔女のモビールです。黒いマントをまとい、ほうきにまたがった魔女の人形が4つ、ワイヤーにつるされています。
魔女たちは姉妹で、それぞれとても個性的です。昼間はゆらゆらしているだけですが、夜になってお店から人がいなくなると、おしゃべりをしたり、ハロウィーンにむけて魔法の練習をしたりしています。
早くだれかに買ってもらいたいこの4人。長女が夢みる買い手は広い海を旅する船長、次女はキラキラ宝石をつけたお金持ち、スピード好きな三女は飛行機のパイロット……でも、丸顔で高いところが苦手なすえっ子のナネットは、姉さんたちとはちょっと違うようです。
順番に、お客さんがやってきて、魔女のモビールに目をとめます。なかには長女が夢みる船長や、次女が求める大金持ちもいますが、何かしら文句を言って、買ってはくれません。
そのたびに、姉さんたちは怒り心頭! お客さんの後ろ姿を石のような冷たい目でみつめながら、こうつぶやきます。
ハロウィーンまで、まってなさい・・・
黒いインクをながしたような空に、黄色い玉のような月が浮かんでいます。ついにハロウィーンの夜がやってきました。モビールをはなれた魔女たちは、手かげんなしのいたずらをするため、呪文をとなえ、ほうきにまたがり夜の町へとび出していきます。
魔女たちのいたずらの結末は? 魔女たちは、買ってくれるお客さんにめぐりあえるのか? そして、すえっ子ナネットがとなえた、あっぱれな呪文とは? どうぞお楽しみください!
ハロウィーンをテーマにした絵本はたくさんありますが、物語はそれほど多くはありません。
本作は、もとは1969年に書かれた物語ですが、個性的な魔女たちやくり返しのおもしろさで、どの時代の子どもをもひきつける普遍的な魅力があります。構成もよく、少し長めの文章もすいすい読むことができます。
冴えわたる魔法の呪文に、メリハリのきいたチャーミングな絵で、小学2・3年生から楽しめる絵童話です。ハロウィーンの前に、ぜひ読んでみてください。
出版社からの内容紹介
おもちゃ屋さんで、四人姉妹の魔女のモビールが売られていました。
ハロウィーンの夜、魔女たちは動きだし、順番に魔法の呪文をとなえて、自分たちにいじわるしたお客をこらしめにいきます!
ただ、すえっ子のナネットだけは、まともな呪文を知らなくて……。
魔女たちのいたずらに手かげんなし、でもさいごは心温まる楽しい絵物語です。
● 四六判・上製・62ページ
● 小学2・3年から
● NDC 933
この書籍を作った人
1974年、東京都生まれ。学生時代を熊本で過ごし、卒業後、児童書版元に入社。その後、留学などを経て、子どもの本の翻訳に携わる。東京・阿佐ヶ谷で家庭文庫「このあの文庫」を主宰。訳書に『さかさ町』『クモのアナンシ ジャマイカのむかしばなし』「テディ・ロビンソン」シリーズ、『くしゃみおじさん』『けんかのたね』(以上、岩波書店)、『ダッドリーくんの12のおはなし』(アノニマ・スタジオ)など多数。
この書籍を作った人
1982年、東京生まれ。イラストレーターとしてさまざまな媒体で活動。絵本に『巨人の花よめ』(BL出版)、『双子の星』(三起商行)、装画・挿画に『トメック』『ハンナ』『緑の模様画』『ニルスが出会った物語』シリーズ(以上、福音館書店)、「名探偵カッレ」シリーズ、『いもうとなんかいらない』(以上、岩波書店)、『オンボロやしきの人形たち』(徳間書店)など多数。