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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  持ち運びに便利! 手のひらサイズの「とびだすミニブック」シリーズ編集者 清水剛さんインタビュー

「とびだすミニブック」シリーズは、手のひらサイズと小さい絵本ながら、ページを開くと、子どもたちの大好きな「どうぶつ」や「のりもの」がダイナミックに飛び出します。お出かけのときにピッタリのこのシリーズを編集した、清水剛さんにお話を伺いました。ご自身も男の子のパパである清水さん。お子さんと接する中で変わってきた絵本への思いや、この「とびだすミニブック」シリーズに込めた思いを教えていただきました。

想像以上にダイナミック! 「とびだすミニブック」シリーズを見てみよう!

「とびだすミニブック」シリーズは、9.5cm×9.5cmと、お子さんの手のひらと同じくらいの小さな絵本。でも、ページからとびだすしかけは、とってもダイナミックです。 どれくらいダイナミックかというと……。

キリンの首はこんなにながーく伸びます
イルカたちも波間から気持ちよさそうに飛び出します
レーシングカーだって、こんなに立体になって迫力満点!

作者は、「くろくまくん」シリーズ(くもん出版)や『パズルえほん にほんちず』(ミキハウス)などを手がけた、たかいよしかずさんです。

この書籍を作った人

たかい よしかず

たかい よしかず (たかいよしかず)

大阪府堺市生まれ。魚座。大阪芸術大学デザイン学科卒業。(株)京田クリエーション入社。2001年、2003年、2006年、2011年ボローニャ国際絵本原画展入選。明治「マーブル チョコレート」キャラクターの「マーブルわんちゃん」、兵庫県西宮市観光キャラクター「みやたん」など、多くのキャラクターデザインを手がけるとともに、イラストレーターとしても活躍している。その他の主な作品に、『怪談レストラン』シリーズ(童心社)の装丁・挿し絵、『おはなし・くろくま』シリーズ『わくわく・くろくま』シリーズ(ともにくもん出版)、エッセイ集『キャラクターデザインの仕事』(大日本図書)『うごくくるまえほん 』(ミキハウス)など。見た人を元気にする作品づくりがモットー。

「とびだすミニブック」シリーズのラインナップは現在4作品。価格も税抜き600円と大変お手ごろなので、シリーズ4冊そろえて遊びたくなりますね。

壊れることを恐れずに、子どもに思いっきりしかけ絵本を楽しんでほしい

───「とびだすミニブック」シリーズは、たかいよしかずさんのかわいいイラストと、大人でも「おっ!」と驚くしかけの数々がとても楽しいですね。このシリーズは清水さんが企画したそうですが、どのようなきっかけで、企画が生まれたのですか?

ぼく自身、男の子の父親として、日ごろから子どもと一緒に遊んでいるのですが、その中でよく絵本を購入してきて、子どもと一緒に読むようになり、改めて感じたことは、「絵本って決して安いものではないなぁ……」ということです。

「とびだすミニブック」シリーズ担当編集者の清水剛さん

───1冊1000円から1500円くらいしますから、たしかに安いものではないですよね……。

それに、1、2歳の子どもって絵本を破いたり、ページを折ったり、口に入れてみたりしますよね。普通の本もそうですが、しかけ絵本などはすぐに破いて悲惨な状態になってしまいます。せっかく楽しいしかけを作って、子どもたちに遊んでもらいたいと思っても、子どもが破くことを気にしたり、値段が高いことを理由に絵本を手に取ってもらえないなんて、とてももったいないと思いました。

───それでこの「とびだすミニブック」シリーズは600円(税別)と手に取りやすい価格になっているんですね。

はい。お子さんが本を破いて壊してしまって、買い替えることになっても、あまりお財布に負担がかからない値段にしようと思いました。それともうひとつ、子どもが絵本を破いてしまうことについて、自分の中で気づいたことがあったんです。

───それはどんなことですか?

今までは、しかけ絵本などが破けて、しかけが動かなくなってしまったら、それでおしまいと思っていました。しかし、我が家ではたまたま、子どもが壊してしまった絵本を捨てずに1年ほどとっておいたことがあったんです。そうしたら、子どもは自分の壊したページを見るたびに「これは、ぼくがやったんだよね」と伝えてくれるんです。親から見れば、遊べなくなった本でも、子どもにとっては自分がやったことが嬉しくて、しかけが動かなかったり、なくなったりしていることも、また楽しいんだろうなと気づきました。

───お子さんにとっては、自分の成長を感じる部分だったのですね。

それからは、破いたところをセロテープなどで補強して、あまり捨てないようにしています。ページを見るたびに、会話が生まれてコミュニケーションにもつながりますし、思い出として、いつまでも残ってくれるのではないかと思っています。絵本を消耗品としてではなく、思い出として残してもらえたらいいな……との思いから、「とびだすミニブック」シリーズを作りました。

───この企画は、清水さんがお子さんを持つパパだったから、生まれた企画でもあるのですね。実際、しかけ絵本を作るときは、どのような順番で企画が進んでいくのですか?

今回は、まずしかけを作る技術を持つ、印刷会社さんに依頼して、しかけのパターンを考えてもらいました。

───小さいサイズの絵本にも関わらず、しかけが本を大きく飛び出すくらいダイナミックだったり、本の上で立体に立ち上がったりと、驚く工夫が随所にあって楽しめました。

今回はシリーズ4冊、しかけが被らないようにしようと決めていました。そのため、印刷会社さんにはとてもこだわっていただいて、28パターンのしかけを考えてもらいました。『どうぶつ』のサルと『ようかい』のカッパのところなど、よく見ると同じしかけを上下逆さまにして使っているところもありますが、たかいさんの絵の力も合わさって、全く違う印象を持ってもらえると思います。

『どうぶつ』のチンパンジーと『ようかい』のかっぱ。同じギミックを使っていますが、印象はまったく違いますね

───『どうぶつ』『のりもの』『うみ』『ようかい』というシリーズ構成もユニークですよね。これも清水さんのアイディアなのでしょうか?

そうです。ミキハウスで出版した過去の作品の傾向を考えて、子どもたちに人気な「どうぶつ」と「のりもの」は必要だろうと思いました。それから、出版時期を8月にしていたので、季節的な要素を入れて「うみ」。「ようかい」は自分でも変わり種だと思ったのですが、「妖怪ウォッチ」などのブームもあり、ぜひシリーズに加えたいと思いました。

───4冊の内容が決まったら、すぐにたかいさんに依頼をされたのですか?

構成が固まったら、印刷会社さんにしかけの動きが分かるような見本を作ってもらいました。それをたかいさんにお見せして、イラストを描いていただきました。大体、2015年の11月ごろにお願いして、翌年の春前にはイラストを完成していただくスケジュールで進めました。

───4冊同時発売ということで、たかいさんもかなりたくさん絵を描かれたと思います。絵が完成してから、デザイン、印刷、製本などはスムーズに進んだのですか?

しかけは海外の工場にお願いしたので、まずイメージ通りしかけが作動するように貼り合わせができているかなどを確認しに何度も印刷会社に出向いて検討しました。最終的に、2泊3日の弾丸スケジュールを組んで工場に出張して、生産ラインのチェックを行ったりと、なかなかハードでした。

───海外で印刷製本した方が費用は少なく済みますが、その分、現地に確認に行ったりと大変な面もあるんですね。たかいさんはどの作品が好きだとおっしゃっていましたか?

そうですね……、たかいさんは元々妖怪がお好きなので、この「とびだすミニブック」シリーズも『ようかい』を気に入ってくださったようでした。特に「いったんもめん」が好きだとおっしゃっていましたね。

───清水さんはどの作品が特に好きですか?

ぼくもたかいさんと一緒で、『ようかい』が好きなのですが、息子は『のりもの』に興味を示しています。ミキハウスショップのスタッフにもお気に入りの一冊を聞いたのですが、それぞれにお気に入りがあるようでした。お客様には「どうぶつ」と「のりもの」が人気のようですね。

───プレゼントとしての需要もありそうですね。

はい。ミキハウスショップでも、ギフトの洋服と合わせて購入されるお客様が多いようです。対象年齢も1歳からと、小さいお子さんにも楽しんでいただけますので、出産祝いのプチギフトとしてもオススメです。

子どもが生まれたことで、編集する作品のタイプにも変化が

───先ほど、お子さんとのやり取りの中で今回の「とびだすミニブック」シリーズが生まれたと伺いました。お子さんが生まれてから、ご自身が企画する本の内容も変わってきたと感じていますか?

子どもが生まれる前は、音が出たり、実際に触って遊べるギミックをたくさんつけた派手で大きい作品が好きで、たくさん企画していました。しかし、子どもが生まれてからは、そういった見栄えのするものよりも、移動先で遊んでもらえるような気軽に持ち運びできる作品を作ろうと気持ちが変化したように思います。作品の内容も、トイレトレーニングやはみがきを教える本など、ぼく自身が日ごろ子どもと接している中で「こんな本があるといいな……」と思う、実用性の高いものを作りたいと思うようになりました。

───今回の「とびだすミニブック」シリーズも、お父さんとして移動中でも子どもと楽しめる作品を……という思いが感じられました。

ありがとうございます。お客様の中には「ミキハウスが出版しているものだから、子どもにとって良質なものだ」と感じていらっしゃる方もいますので、そのお客様の思いを裏切らないように、子どもたちがしっかりと楽しめるものを作っていきたいと、常に考えていますね。

───たしかに、ミキハウスといえば、子ども服のブランドとして多くの方が認識していますから、出版している書籍も確かなものだろうというイメージを持っている方が多いですよね。今回、「とびだすミニブック」シリーズ4冊についてお話を伺いましたが、第2弾、第3弾とシリーズは進んでいくのでしょうか?

作者のたかいよしかずさんもとてもこの作品を気に入ってくださっていますし、ぼくも学ぶことの多かった作品だと思っています。まだ、検討中ですが、第1弾が好評でしたら、第2弾、第3弾と作っていきたいと思いますね。ただ、考案したしかけに関しては今回の4冊でほとんどやってしまったので、新しいシリーズになるときは、またしかけから考えたいと思います。

───新たにシリーズ化することを祈っています。最後に絵本ナビユーザーへ、メッセージをお願いします。

「とびだすミニブック」シリーズは、しかけの飛び出し方などにこだわりを持ち、ひとつひとつ、違うしかけになるように考えて作っています。価格も大変お手ごろなので、購入を迷われている方は、まず1冊買って、そのしかけの飛び出す度合いにビックリしてください。そして、気に入っていただけたら、ぜひ4作そろえて楽しんでほしいと思います。

───ありがとうございました。

【取材協力】 銀座三越店 ミキハウス

銀座三越店の中にあるミキハウスは、ミキハウスの店舗の中でもトップクラスの売り上げを誇るショップです。銀座に遊びに来た人々はもちろん、若いパパ、ママや海外の方から高い支持を集めている店舗です。

「とびだすミニブック」シリーズは、ギフトのひとつとしてラッピングされていました。

フロアの別の場所に、特設コーナーもあり、ミキハウスの絵本が販売されていました。

「とびだすミニブック」シリーズも、お客様をお出迎えです。

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