のりもの好きな子大集合!
インタビュー
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2021.03.18
子どもたちが大好きな「絵本」と「カード」。その2つをいっぺんに楽しめて、さらに子どもの「考える力」を育む知育教材があったら。そんなアイデアから誕生したのが、「Z会グレードアップ」の新シリーズ「カードとえほん」です。
でも、おはなしを読んで楽しむ「絵本」と、遊んで楽しむ「カード」では、遊び方がずいぶん違います。どうしたら2つの楽しみを結びつけ、子どもたちに楽しみながら考えてもらうことができるのか?
そのヒントになったのが“さがしもの遊び”でした。アイデアを思いついたのは、幼稚園の園長を務めた経験を持ち、長年にわたって幼児の言葉と文字の教育について研究を行っている、千葉大学名誉教授の首藤久義さん。インタビューでは編集者の蜿タさんを交えて、「Z会グレードアップ カードとえほん」シリーズにこめた工夫や思い、そして家庭での取り組みのヒントをお話しいただきました。
この人にインタビューしました
千葉大学名誉教授。日本国語教育学会常任理事。保育と自然をつなぐ研究会ウレシパモシリ顧問。子ども自身の学ぶ力を大切にし、子どもの側に身を寄せて、学習支援のあり方を探求している。保育現場で子どもと遊び、保育者とともに学習支援の改善を探究する姿勢は、多くの保育者と保護者に信頼され、子どもたちにも慕われている。「通じる喜びが子どもの育ちを支える」(日本国語教育学会)、「はじめてつかう漢字字典」(フレーベル館)、「書くことの学習支援」「生活漢字の学習支援」(東洋館出版社)など、論文・著書多数。
───「カードとえほん」シリーズは、もともとどんなアイデアから誕生したのでしょうか?
蜿タ:楽しくて、子どもが遊びながら学べる教材があったらいいなと思ったのがはじまりです。
そこで思い当たったのが、カードゲームでした。カードで遊んでいるときの子どもはすごく集中していますし、手を動かしながら考えることが知育にもつながるという記事もたくさん出ていたんですね。一方で、「Z会グレードアップドリル」の新しい展開として、「冊子」と「なにか」を組み合わせて学びにつなげる企画が欲しいという意見が社内からあがりました。そこで考えついたのが、「冊子」と「カード」の組み合わせだったんです。
───最初は、絵本ではなかったんですね。
蜿タ:そうです。ところが具体的に考えていくと、カードで遊ぶこととドリルで書くことを結びつける展開が難しいとわかりました。そこで、「読んで考える」→「考えたことを頭に置きながら、手を動かして遊ぶ」→「理解につながる」いう学びの流れができる、絵本とカードの組み合わせになったんです。絵本では二次元(絵場面という平面)で考えますが、カードになると三次元(カードを操作する空間)で遊べるので、二次元と三次元の行き来がすごくよい連携になりそうだなとも感じました。
───首藤さんに監修をお願いした理由はなんですか?
蜿タ:首藤先生は、大学の附属幼稚園の園長をされていましたし、ここ数年は各地の幼稚園や保育園を回って、保育者や子どもたちと一緒に絵本や紙芝居をつくるなど、さまざまな活動をすすめていらっしゃいます。以前、国語教育の教材でお仕事をさせていただいたとき、「子どもたちと一緒にいると、いろんなことに気づかされる」というお話をうかがったので、そのご経験を活かしつつ、新しいシリーズを生み出す力になっていただけたらと思い、お願いしました。
───首藤さんは、「カードとえほん」シリーズの企画を聞いたときにどう思いましたか?
首藤:絵本は、子どもの学びの素材としてすばらしいと常々思っていましたので、ぜひともよいものを作りたいと思いました。私は国語教育が専門ですが、大学院生時代に幼児教育を研究し、「幼児の言語教育」というテーマで修士論文を書いたんです。そのときに、絵本を持ってたくさんの子どもたちのもとを訪れ、どういう遊びの中でなにを認識しているのか、それを言葉でどう表しているかということを観察しました。
首藤:絵本は、子どもにとっても大人にとっても特別な存在です。その楽しみや学びは0歳からはじまって、一生続きます。成長にしたがって絵本以外の読み物も加わりますが、絵本を卒業するわけではないんですね。絵本は、絵画的な表現手段と言語的な表現手段が組み合わさったすばらしい学習材であり、文化財でもあると考えていましたので、私は大学の授業でも毎回、学生に絵本を読み聞かせるところから授業をはじめていたんですよ。
───大学生に絵本の読み聞かせをするというのは意外ですが、学生の反応はいかがでしたか?
首藤:照れくさいので演技はせずに、さらっとさりげなく読みますが「それがいい」と評判でした(笑)。授業もあるので簡単に終わらせようとすると、「先生、最後まで読んで!」とリクエストされるくらい、人気がありました。私自身も海外に行けば必ず本屋に立ち寄って、「ここで一番売れている絵本をください」と買い求めるほど、絵本が大好きです。
───絵本との付き合いは0歳からはじまるということでしたが、実際に0歳の子はどんなふうに絵本を楽しんでいるのですか?
首藤:とにかくページをめくったり、絵を見たり、大人が読み上げる声を耳で聞いたりして楽しみます。1歳近くになると、並んでいる絵本の背表紙を見て「これ、読んで」と言い出しますが、それは子どもが背表紙を読んでいるからなんですね。その様子から、私は絵本との付き合いの中から、子どもの読書がはじまると考えました。絵本の世界から、子どもは文章と付き合っています。さらに絵本を読みながら、子どもは自発的に絵を探しだして、「「ここにこれがある、あれがある」と絵本をめくっては、自分が見つけたものを大人に教えてくれるんですよ。だから私は企画を聞いた段階で、蜿タさんに「冊子ではなく、本物の絵本にしなければいけない。絵本として恥ずかしくない本にしなければならない」と言い続けました。だから、「カードとえほん」の絵本の文体は、ドリルの文体ではなく、絵本の文体になっています。
───そうだったんですね。
出版社からの内容紹介
★カタカナさがしを楽しむ絵本と、81枚のカタカナカードのセット。カタカナカードで遊ぶことが、絵本の読みをさらに豊かにし、絵本の読みがカード遊びをさらに楽しくして、豊かな学びを生み出す教材です。
★試行錯誤することで、認識力や思考力が高まり、語彙が広がる!カタカナカードを使った楽しい遊び方を5種類紹介。カードを組み合わせたり、並べたり、手を動かして遊びながら「試行錯誤」することで、 文字と言葉の認識が高まり、語彙が広がります。
★大人のための解説付き子どもが物事をどう認識していくのか、言葉や語彙をどう広げていくのかをわかりやすく解説。カードと絵本で遊ぶ活動の意義とともに、お子さまに向き合う姿勢やサポートのしかたも具体的に説明しています。
───子どもに文字を教えるのはひらがなが先だと思っていたのですが、『カタカナ』にした理由はなんですか?
首藤:カタカナはひらがなより書きやすくて、身の回りにたくさんあるからです。チョコレート、ココア、キャンディなどの甘い食べ物や、アニメのキャラクターもカタカナが多いですし、恐竜の名前も全部カタカナ表記ですね。時計の数字や、マンションや団地のA号棟B号棟といったアルファベットもよく目にします。するとその文字は自然と読めるようになるし、AとBが、同じように見える建物を識別するときに使われていて、BよりもAが先だという順番まで覚えてしまいます。これが生きた体験のすばらしさで、常時接している字は、実感を伴う意味と一緒に、その文字の働きを覚えてしまうんです。『カタカナさがし』の絵本も、子どもが物語を疑似体験して楽しみ、楽しみながらカタカナに出会い、出会いの中で自然に身につくようになっています。
───なるほど! 子どもはそんなふうに文字を覚えていくんですね。
首藤:もうひとつの理由は、カタカナの字形が、そのまま漢字に使われることが多いからです。例えばカタカナの「ロ」は、漢字の「口(くち)」とまったく同じ形ですよね。カタカナの「イ」や「カ」や「ネ」なども、漢字の一部分として同じ形が使われています。実は子どもは、ひらがなやカタカナよりも先に、漢字を読めるようになるんですよ。
───漢字のほうが難しいと思うのですが、どうして読めるようになるんですか?
首藤:子どもにとって覚えやすいのは、意味のある文字です。そして、意味のある言葉の最小単位は単語です。例えばひらがな積み木で、タコの絵が描かれた「た」、飛行機の絵が描かれた「ひ」という文字を見たときに、「たこ」、「ひこうき」と読むことがあります。その子は「たこ」という単語はわかるのですが、それが、音節の「た」と「こ」からできているということがわかっていないんです。
───なるほど。
首藤:漢字は意味を持つ文字なので、1文字で単語と同じ役割を果たす文字が多い。例えば、子どもにとって覚えやすい「川」。ひらがなにすると「か」と「わ」に分かれます。そして、この「わ」にも「か」にも意味がなくなる。でも漢字の「川」は、「川が流れているみたいな形でしょう?」と言うと、一発で読み書きができるようになります。「か」と「わ」の2つの文字を書くよりも、三本線を引くだけの「川」のほうが簡単でしょう
───その通りですね。すごく納得できます。
首藤:音節分解認知ができるのは、言葉を単語の単位に分解して認知できる時期より1年ほど遅くなります。仮名文字が音節を表していることに気づくことを、私は「かなの発見」と呼んでいます。「か」がkaという音節に対応し、「わ」がwaという音節に対応しているのだということに気づく時期が来るんです。「そうか、これが『か』だ!」とわかると、急にバーッとひらがなを覚え出します。かなを発見した子どもは、2ヶ月くらいでほぼ全部のひらがなが読めるようになるんですよ。子どもによっても差がありますが、3〜5歳の間にそれが起きます。多くの子がひらがなのほぼ全部を読めるようになって小学校に入ります。
───すごいですね!
首藤:ほとんどの子は小学校入学時点で100字くらいの漢字が読めます。ただし、子どもによって読める漢字が違うんですね。それは、覚える漢字が自分の住所や名前だったり、いつも乗るバスや電車の行き先表示や地名、よく見る看板の文字だったりと、出会う漢字がそれぞれ違うから。だから、学習指導要領で全国一律に第1学年に配当された80字の漢字テストをすると、読めない漢字が出てきてしまうんです。これは僕個人の考えですが、これからは、子どもひとりひとりを見て、それぞれが読み書きできる漢字を先生や大人が発見してあげるような、学習活動の個別最適化が大切になると思うんです。例えば、その子だけが読み書きできる漢字をみんなの前で発表させると、本当に自己肯定感が高まるんですよ。
───カタカナの読み書きが、漢字の読み書きにつながるとは驚きました。では、カードはどんなふうに使うんですか?
首藤:絵本では、おはなしや場面の文脈の中で言葉や文字と出会うので、カードでは逆に、言葉や文字から絵本に行くというように、往復運動になるように考えました。ヒントになったのは、ドイツの本屋さんで売られていた、絵本と絵本に登場するキャラクターのぬいぐるみです。子どもは、絵本に出てくるキャラクターのぬいぐるみが大好きでしょう。そのぬいぐるみで遊ぶ中で、絵本の世界にさらに入りこんで、自分でおはなしも作ってしまうんですよ。セットになっているカードはただのカードではなく、絵本に登場するキャラクターのカードなんです。だからカード遊びをすることで絵本への親しみがさらに増すし、絵本を読むことでカードへの親しみも増します。
蜿タ:もうひとつ、子どもがカードに親しめるようなしかけが、カードを自分で作るところからはじまることです。もしかしたらめんどうだと感じる方もいらっしゃるかと思いますが、ミシン目を入れて切りやすい工夫をしています。なによりも、子どもが自分の手で作ることで、「これは自分のカードなんだ」という思い入れを持ってもらえたらという願いもこめています。
───作るところから“体験”がはじまっているんですね。
首藤:そうなんです。頭を使うだけでなく、できるだけ手足や身体を動かすことを組み入れているんですよ。カードを切り離すときに、1枚1枚、手で触りながら見るでしょう。そこで、カードになじみが深まります。さらに、カードがバラバラになっても、絵本の巻末に同じカードが一覧になって載っているので、それと照合することができます。それも大事なしかけのひとつです。
───子どもの文字の覚えかたに沿ったいくつもの工夫が、1冊の「カードとえほん」に詰まっていることが、よくわかりました。
出版社からの内容紹介
★生き物さがしを楽しむ絵本と、60枚の生き物カードのセット。絵本から飛び出してきたようなカードで遊ぶことが、絵本の読みをさらに豊かにし、絵本の読みがカード遊びをさらに楽しくして、豊かな学びを生み出す教材です。★試行錯誤することで、認識力や思考力が高まる!生き物カードを使った楽しい遊び方を6種類紹介。カードを組み合わせたり、並べたり、手を動かして遊びながら「試行錯誤」することで、 認識力・思考力が高まります。
★遊びながら知識が広がり、豊かな心を育てる!絵本を開いて見つけたり、探したり、考えたりする中で感じる「ワクワク」する気持ちが、お子さまの興味・関心を呼び起こし、知識や理解が高まり、豊かな心が育ちます。
★大人のための解説付き子どもが世界をどう認識していくのか、言葉や語彙をどう広げていくのかをわかりやすく解説。カードと絵本で遊ぶ活動の意義とともに、お子さまに向き合う姿勢やサポートのしかたも具体的に説明しています。
───『のりものさがし』、『いきものさがし』は、どちらもいろんな場所に行って、カードを使いながらなにかを探す展開になっています。「カードとえほん」を作るうえで、首藤さんがこだわったことはなんですか?
首藤:読んでいる子ども自身が、お話の主人公になるようにしました。絵本の冒頭で届いた指令カードを子どもが受け取って、生き物や乗り物の世界を探検する。その探検の中で、いつの間にかいろいろな面からの分類に気づくような“しかけ”になっています。
例えば、下の『いきものさがし』のページでは、同じ生き物でも、空を飛ぶものと飛ばないものがあることに気づいてもらえるように、空を飛ぶ生き物はページの上半分に、飛べない生き物はページの下半分に配置しました。さらにトンボが飛んでいく線を引くと、2種類の生き物がちゃんと分類別に分かれるんですよ。3冊とも本格絵本にしようとこだわりましたが、その中には、子どもが好む図鑑的な要素やゲーム的な要素も入れています。
───すごい! 説明していただいてはじめて気づきました。
首藤:どんな所に注目して「仲間わけ」するかについても、それを子どもが発見するようなしかけになっているんです。「仲間わけ」は、他のものと比べて、同じ所と違う所を見つけること。なにが同じでなにが違うのかがわかるということが、物事を認識し分類整理して、頭の中に自分なりの“世界観”を構築することにつながるんです。その世界観は、新しい発見をするたびに修正され続け、ひとりひとりの頭の中で生涯成長し続けます。
子どもは、絵本の中でも新しい世界や物事に出会います。その出会いと発見を通じて、その子なりのルールで言葉と知識が分類・整理され、気づいたら自分の世界観ができている。それも、この絵本が目指すテーマのひとつです。この絵本では、分類のしかたを大人が教えるのではなく、子どもが自分なりの方法で分類整理していくことを大切にしています。それが、子どもの認識や思考を活性化し、探究力を高めることにつながります。
───この絵本の絵柄は、生き物の特徴をきちんと表現しつつも、かわいくて親しみやすい絵ですね。
首藤:子どもは言葉を覚えるときに、その意味も同時に覚えます。例えば、「ウシ」のカードだけを使って言葉を覚えても、それは「ウシ」という単語と音を覚えるだけで、具体的なイメージには結びついていません。ですが、緑の草原の中にいて「モーッ」と鳴くこと、「ウシ」からもらえるものが「牛乳」であることなど、ストーリーのある絵場面と、「ウシ」が自分にどう関わっているのかという意味づけを知ることで、子どもの中で言葉が具体的なイメージと結びついて記憶されます。
首藤:絵本ではいろんな生き物が一緒の場所にいるように描かれていますが、実際の生き物はこんな状態で一緒にいることはありません。これを写真や写実的なイラストで表現してしまうと、誤った情報を子どもに与えることになってしまうんですね。ですから、あくまで物語のワンシーンという、ファンタジックな場面として捉えられるような絵柄にしたかったんです。
あと、檻や柵の中にいる状態ではなく、自然の中での姿で描いてもらいました。それから人間(ヒト)の近くで暮らす動物が出てくる場面には、イラストの中にヒトも入れて描いてもらいました。ヒトも生き物なんだということに、気づいてもらいたかったんです。そういう世界観まで全部入れた上での場面配置です。
───パッと見ただけではそこまで気づけませんでしたが、子どもの言葉の覚えかたを踏まえた上で、効果的な見せ方をしているということですね。『のりものさがし』では、バスや車といった身近な乗り物だけでなく、人力車や潜水艇、宇宙船といった珍しい乗り物もいっぱい登場します。
出版社からの内容紹介
★乗り物さがしを楽しむ絵本と、60枚の乗り物カードのセット。絵本から飛び出してきたようなカードで遊ぶことが、絵本の読みをさらに豊かにし、絵本の読みがカード遊びをさらに楽しくして、豊かな学びを生み出す教材です。
★試行錯誤することで、認識力や思考力が高まる!乗り物カードを使った楽しい遊び方を6種類紹介。カードを組み合わせたり、並べたり、手を動かして遊びながら「試行錯誤」することで、 認識力・思考力が高まります。
★大人のための解説付き子どもが世界をどう認識していくのか、言葉や語彙をどう広げていくのかをわかりやすく解説。カードと絵本で遊ぶ活動の意義とともに、お子さまに向き合う姿勢やサポートのしかたも具体的に説明しています。
首藤:子どもに絵本を読み聞かせすると、よく「これ、知ってる!」とうれしそうに教えてくれるんですが、そのくらい、子どもは身近なものに出会うのが大好きです。でもそれとは別に大好きなのが、新しいものに出会うことです。発見の喜びを味わえるように、カードにはすごく身近なものと、中くらいのものと、とんでもなく外れているものとを絶妙に配分するように、監修者として助言しましたね。
───車も「オープンカー」、「スポーツカー」、「ハイブリッドカー」、「オフロード車」、「キャンピングカー」というように、種類や用途がはっきりとわかるものを選んでいます。車が大好きな子だったら「これ、知っている」と親しみを感じることができそうですし、逆に車にあまり興味がない子からすると、「車にもこんなに種類があるんだ」という発見につながりそうですね。
首藤:大人はつい子どもの力を見くびってしまいがちですが、子どもは実に細かいところまでよく見ています。そのすばらしい力を引きだして育ててあげられるように、すみずみまでこだわって作りました。
───この絵本は、大人が読んでも新しい発見がありそうです。様々な工夫を凝らして作られている「カードとえほん」シリーズですが、家庭ではどんなことに気をつけて取り組むのがよいのでしょうか?
首藤:やりたがらない子どもに無理にやらせようとしたり、正しい読み書きをさせるために大人のやり方を押しつけたりするのは、逆効果になります。それをやったとたんに、子どもは嫌になってしまいますから。子どもが自分で発見する。文字が読めなくても、そこに絵があるから、絵と結びつけて文字を読む。自分で読めないときには、読める人に読んでもらう。そうすると、いつの間にか頭の中に、意味のある文字と文字のイメージ=概念のつながりがどんどんできていきます。「「カードとえほん」で遊ぶ段階では、一字一字を正確に読めなくてもまったく問題ありません。
───親が指摘すると子どもは怒られたと感じる場合があるので、対等な立場のお友だちの言葉の方が心に響くのかもしれませんね。カードを使った遊びの方はいかがですか?
首藤:カードは、ひとりでも、大人やお友だちと一緒でも遊ぶことができます。絵本の中でカードの遊び方を紹介していますが、子どもに自由に遊んでもらって、新しい遊びを発見してもらえたらうれしいですね。カードと絵本を組み合わせて、絵本にない言葉を作ったり、新しいおはなしを作ったりして、おはなしの受け手だけでなく、作り手にもなれるのが、「カードとえほん」シリーズの大きなしかけです。「カード+絵本」ではなく、「カード×絵本」の効果を持った、今までにない、“カード遊び絵本”という新ジャンルとして発信していますので、ぜひお子さんと一緒に楽しんでください。
───子どもがどんなふうに言葉を覚えていくかがわかり、子育てと一緒に親も新しい世界が広がるような気持ちになりました。それを1冊の絵本とカードで体験できるというのが、「カードとえほん」シリーズの大きな魅力なんですね。ありがとうございました。
取材・文/中村美奈子