うごく! しゃべる! ぬりえーしょん 海のいきもの (小学館集英社プロダクション)
お子さまの塗ったぬりえが、アニメーションになる!フランス生まれの画期的なぬりえシリーズ!
- かわいい
- 盛り上がる
ピノキオにシンデレラひめ、ながぐつをはいたねこにラプンツェル。よく知っているあの人たちが!? 毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは『ほんやねこ』。舞台は眺めのいい場所に立つ本屋さん。どんな内容なのでしょう?
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
遠くに海の見える見晴らしのいい場所にあり、中に入れば壁一面の本。中心には大きならせん階段があり、店主はねこ。なんて素敵な本屋なのでしょう。
最後の小さなお客さまをお見送りしたあと、今日は早めに店じまい。ねこは散歩に出かけるのです。ところが、窓を一か所閉め忘れてしまったから大変。強く風がふきこんだ時、パラパラとめくれた棚の絵本から、物語の人たちが窓の外へ飛ばされてしまったのです。
そうとは知らずに、野原でねころび、のんびり毛づくろいをしていたねこ。そこへ小さな声が聞こえてきます。
「ここから ぼくを おろしてくださいな」
木の枝にぶらさがっていたのは、ピノキオ! さらに川の近くにいたのは……。
シンデレラにラプンツェル、3びきのこぶたに白雪姫。大好きな物語の世界の人たちが、風で外に飛ばされ、ばらばらに! 大変なことです。それでもねこは、大事なさんぽ中。
「では さんぽをしながら みなさんを さがすと いたしましょう」
ひとりひとり探し出し、本屋のねこと一緒に夕暮れのまちを歩きまわる一行。偶然とはいえ、内緒とはいえ。これはなかなかの大冒険。なにしろこぶたとおおかみが手を取り合い、魔法つかいのおばあさんはにっこりとりんごを差し出してくる。ちょっとドキドキ。でも、のんびりした性格のねこの背中は思ったよりも広く、なんだかいい雰囲気……。
本の世界に触れる楽しさを、こんな形で体験させてくれるなんて。作者は子どもたちの姿を力強く描き続ける絵本作家、石川えりこさん。伸びやかな線で、ゆるくダイナミックに、お店の中を、街の景色を、小さな人たちを、そして本屋のねこを魅力的に描き出します。
ペローやアンデルセンの物語を読んだことがある人にも、まだ知らない人にも。力を抜いて楽しめる、「すきまの時間」の素敵なお話です。
どの場面を切りとっても
どんな高い場所の本でもさっと取り出し、するするっとらせん階段を降り、早めの時間にぱっぱと店じまい。野原でごろりとからだをほぐし、ノラネコたちとは毛を逆だて立ち向かう。美しい夕日は立ち止まって堪能し、お店に帰れば毛布の中でくるりとまるくなる。どこを切りとっても、ねこらしいねこ。でも読み終わってみれば、本屋にぴったりだと感じてしまうのが不思議なのです。
この書籍を作った人
1955年福岡県嘉麻市生まれ。横浜市在住。 デザイナーを経て、 フリーのイラストレーター・絵本作家となる。 幼少期の体験をもとに描いた「ボタ山であそんだころ」(福音館書店)は 2015年に第46回講談社出版文化賞絵本賞及び 2017年に台湾でOpenbook最佳童書を受賞。 同作品は2015年にブラティスラヴァ絵本原画展へ出展。 『あひる』(くもん出版) 『てんきのいい日はつくしとり』(福音館書店) こどものとも『ことしのセーター』(福音館書店) こどものとも『しんやくんのマラカス』(福音館書店) 『流木のいえ』(小学館) 『かんけり』(アリス館)ミュンヘン国際児童図書館の目録『ホワイト・レイブンズ』入選/JPIC絵本大賞4位 『しぶがき ほしがき あまいかき』令和元年度社会保障審議会福祉文化財推薦作品特別賞/2020児童福祉文化賞推薦作品受賞 挿絵では 『またおこられてん』文/小西貴士(童心社) 『こくん』文/村中李衣(童心社)2020年新潟県課題図書 『あららのはたけ』文/村中李衣(偕成社)2020年坪田譲治文学賞/JBBYおすすめ!日本の子どもの本 『ねこのこふじさん』文/山本和子(アリス館)JBBYおすすめ!日本の子どもの本 『おれ、よびだしになる!』文/中川ひろたか(アリス館)2020年度全国課題図書/BIG2020日本推薦絵本として出展(シンガポール)/第4回日本こどもの本研究会作品賞 他多数
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。