愛される賢い女性の話を集めたアンソロジー。ファージョン「小さな仕立て屋さん」、グリム「むすびっこぶ」などを収録。
2008年刊行。才能のある賢いヒロインを集めた小編集。
・「金の足のベルタ」 エリナー・ファージョン
・「小さな仕立て屋さん」 エリナー・ファージョン
・「むすびっこぶ」※グリム童話より グリム兄弟
・「賢い娘」※ギリシャ昔話より
・「アンドロイドは電気毛布の夢を見るか?」 清原なつの ※漫画
・「運命のであい」 平塚らいてう
イギリスの児童文学、ヨーロッパの民話、80年代の日本の少女漫画(SF)、明治時代の女性運動家の自伝…
時代背景も発表年もいろいろあり、漫画もあり、様々な恋の様子が楽しめる。共通点は、女性の主人公が非常に賢く、才能が豊か。恋愛におぼれたりせず、自分の力で未来を切り開いていく。
圧巻なのは平塚らいてう。歴史の教科書などで一度は目にしたことがある名前だが、その書いたものを読む機会はなかった。
こういうきっかけでもない限り、手に取らなかったと思う。
女性解放運動の印象が強かったが、意外と料理が下手だったり(料理を焦がし、鍋までダメにしたとか)、芸術家の夫と入籍せずに「同居人」として夫婦生活をしたり型破りだ。
思ったことは実行しないと気が済まない様子や、嫌がらせに遭っても負けずにずんずん活動を続ける様子なども想像できた。
らいてう氏の人物像が、生き生きと思い描けて面白かった。
SF漫画は、80年代に発表されたものだが、人間にそっくりなアンドロイドの開発に関する問題を扱っている。最先端の技術がもたらす功罪を考えさせられる内容。表現は控えめだが、最先端を行く専門家と、庶民の感覚のずれや、人権問題なども含まれていて、考えさせられる。
読みやすく、面白い物語ばかりだが、内容が濃い。
大人が読んで十分楽しめる。 (渡”邉恵’里’さん 40代・その他の方 )
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