これは、ある町に住んでいる目に見えないどうぶつたちのやさしい物語。
毎晩、町の広場で眠り、目覚めるとふらりぶらりと のんびり町の中を散歩している透明などうぶつたち。 だれにも見えないのですから、何をしてもとがめるひともいませんし 注意するひともいません。 自由気まま。それは楽しくゆかいなくらし。
時には、町の建物にこっそりとお花の絵を描いて町の人をびっくりさせたり 寒くて震えている女の子の両脇にそっと腰かけて寄り添ってみたり。 町のひとたちは、どうぶたちの気配を感じても目に見えないので 自分の気のせいと思ったり、風のしわざだと思ったりするのです。
自由だけど、ちょっぴりさみしいな。 どうぶつたちはいつもそう思っていました。
ある日のこと。 そんなどうぶつたちの運命を変える素敵な出会いが唐突に訪れるのです。
誰かが自分の存在にちょっぴり気づいて気にかけてくれること。 それだけでこんなにうれしくてハッピーな気持ちになれるんだなぁ。 作者の井上コトリさんはいつも忘れかけていた心のボタンをポチッと押してくれるみたい。 何かのにおいや気配を感じたときにそこに透明などうぶつたちがいたとしたら・・・。 そう考えるだけでちょっぴりワクワクしますよね。 動物が大好きで空想好きなあの子に読んであげたいと思います。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
ある町の広場に5匹の動物たちがすんでいました。動物たちは夜明けとともに起き、だれかの手伝いをして、いたずらして、夜は広場で眠って、毎日を気ままに過ごしていました。でも、少しさみしくもありました。なぜなら動物たちのことをだれも知らなかったからです……。自由に楽しく生きている動物たちが、男の子とのふしぎな出会いから、新しいくらしを見つけます。だれかが自分を知っていることがうれしいと思えるお話絵本です。
「にじのおはなし読んで」
と5歳児がこの絵本を持って来ました。
読んでもらう前に
一人でページをめくっていたようで、
読みながら、
「ほら、ここにいるでしょ」と
いろいろ教えてくれました。
いるのに、存在を認めてもらえないというのは、
楽なようで、寂しいという気持ちを
こんなふうに絵本で子どもにも
わかりやすく伝えていて、
読んでいて心が温かくなりました。 (まことあつさん 30代・ママ 男の子8歳、男の子5歳)
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