弟の病気は治らない…みんなそういうけど、そんなのうそだ! ぼくが世界一の名医をつれてきてきっと治してみせるから! イギリスのおじさんの家に行ったコリンは、女王様から世界一の名医を紹介してもらおうとするが、思うようにはいかなくて…。むずかしいテーマをユーモアと笑いでくるみつつ、感動的に描いたオーストラリアの児童文学。
きょうだいのいる人ならだれでも一度は
「自分よりきょうだいの方が親に可愛がられている。不公平だ」と思ったことがあるはず。
この本の主人公コリンも弟のルークばかり両親に優遇されている(気がする)ことを不満に思っていました。
ところがある日、ルークは突然倒れ、そのまま救急病院に搬送されてしまいます。しかも、不治のガンに侵されていてそう長くはもたないことが判明します。
そのことが分かると、コリンは憎らしくも大切な弟を助けるため、ひとり大奮闘します。
その一つが『女王様に弟を助けてもらうよう、お願いすること』。
行為そのものは、大人が見たらただのイタズラにしか見えなくて、コリンは自分にできることを一生懸命考えて行動に移していきます。
この行動力と想像力〈計画を立てる力〉は半端ないです。お兄ちゃんパワーだなと思いました。
この作品は母国オーストラリアではお芝居になり、ロングランを重ねているそうです。
物語にはガンだけでなく、エイズ〈後天性免疫不全症候群〉という病気も取り上げていました。
物語はコリンの目線で進行していくので、読み手の子どもたちにも十分理解できる言葉で書かれています。
展開的には少々早いかな?とも思いますが、ページ数も少ないので本が苦手な子でも比較的読みやすい量だと思います。
読み終わった時、大人でも
難病といわれている病気に愛する家族や恋人がかかった時、自分ならどうするだろう?
コリンやテッドのように最後まで向き合って傍にいてあげることができるだろうか?
と、考えてしまいました。読み手の子どもたちにもいい意味で「難病」や「身近な人の死」と向き合う切っ掛けになれる作品ではないでしょうか? (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子19歳、女の子14歳)
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