「ねー おかあさん、ねこ ほしいよう」 洗濯かごをかかえたおかあさんのスカートにすがりついて、わたしがいいます。 100万回「ねこ ほしいよう」といっても100万回「だめ」というおかあさん。 「だめ、だめ、だめ」 あ、100万3回。
お部屋にねっころがって「ねこ いると いいなあ」とわたしがいうと、どこかで「ニャー」とちいさい声がしました。 「ねこ いると いいなあ」と少しずつ声を大きくしていうたびに「ニャー」とねこの声がきこえます。 お絵描きをはじめたら絵のなかのねこは、「ねこいるといいな」といって描くたびに「ニャー」「ニャー」とへんじする声がふえて、とうとうケンカをはじめます。 いつのまにか、めっちゃくちゃにケンカをするねこたちにこわくなったわたしは……。
『100万回生きたねこ』の佐野洋子さんが、ねこがほしい子どもを描いた絵本。1990年に刊行された作品の復刊です。 『100万かい生きたねこ』とは描かれている世界がまたぜんぜんちがっていて、子どもの心をふるわせる「ねこがほしい」切実さをみずみずしいタッチで描いています。
でもねこって、人間のいうとおりにはならない生き物ですものね。女の子が楽しく想像したようなねこたちばかりではなくて、そこがまたねこ好きの心をくすぐります。 女の子のねがいから生まれた、白昼夢のようなねこの大げんか。無垢な苦みのある、佐野洋子さんらしい絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
かわいくて、ふしぎで、ちょっぴりこわい。『100万回生きたねこ』の佐野洋子がクレパスで描いた、もうひとつのねこの物語。
『おじさんのかさ』や『ねえとうさん』など、佐野洋子さんの作品が好きなのでこちらも読みたいと思いました。
猫を飼いたくて飼いたくて仕方がない女の子のおはなし。
お母さんにお願いしてもなかなか聞き入れてもらえないので、紙に猫を描いてみると……。
ユーモラスで、不思議で、ちょっと怖い雰囲気もあって。佐野洋子さんらしい作品だなと思いました。 (クッチーナママさん 40代・ママ 女の子20歳、女の子17歳、男の子15歳)
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