森でふりだした雪に、おおはしゃぎの、くまくんたち。 「つもったら、ゆきがっせんしようねえ」ととびはねるりすちゃん。 「そりあそびもできるよね」ときつねくん。 くまくんもきつねくんも、うさぎちゃんも、そりをもってるんですって。 みんな雪がつもるのが楽しみでしかたありません。
でも、りすちゃんはなんだか急にしょんぼりしちゃったみたい……。 りすちゃん、どうしたのかな?
じつはりすちゃんは、自分のそりを持っていなくてしょんぼりしていたのです。 一方、くまくんも、自分の古ぼけた木のそりがはずかしくなり、しょんぼり。 でもりすちゃんに「はちみついろのすてきなそり」と言われて、おじいちゃん手作りの古いそりが素敵なものに思えてきます。 一度は「ゆきなんか、もうふらないで!」と思ったくまくんですが、また待ち遠しくなります。 りすちゃんに「ぼくのそりにのって!」と言ったくまくん。りすちゃんも嬉しそう。
そして……しんしんと何日も雪がふりつもり、雪がやんだあと。 あかるい青空の下、みんながあつまってきました。 「それーっ!」 「きゃーっ!」 「ひゃっほー!」 丘の上から一気にすべりおりてくるみんなの顔は晴れ晴れとしています。 おおらかな線で描かれた風景。気持ちよさそうなくまくんたちの姿。 互いのそりに乗って楽しく遊ぶ様子がすがすがしく、思わず顔がほころびます。 お友達同士の心の揺れとやさしさが描かれた、冬にぴったりの絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
くまくんの そりは、むかし おじいちゃんが つくった そり。 でも、みんなの そりを みると…。 ともだちと 話して見つけた だいじな気持ち。 心が キラキラ晴れる あたたかい 冬のお話。
雪が降ってきました。
主人公のくまくんは、友だちのきつねくんやうさぎちゃん、りすちゃんと大はしゃぎです。
だから、雪が積もったら、ソリで遊ぶ約束をしました。
くまくんのソリは、おじいちゃんがお父さんのために作った、古いソリです。とてもお気に入りだったけど、きつねくんやうさぎちゃんの新しいソリを見たら、そのソリのことが恥ずかしくなってしまいました。
でもりすちゃんは、くまくんのソリを、
「はちみついろの すてきな そり」
だと言います。
きつねくんやうさぎちゃんも、くまくんのソリを
「かっこいい」
と言います。
くまくんにとっては古ぼけたソリだったとしても、他の子にとっては素敵だったりかっこよかったりします。
ということは、誰かにとっての短所は他の人にとっての長所ということになります。
この絵本は、主人公のくまくんを通して、そのことを言いたかったのかもしれません。 (めむたんさん 40代・ママ 男の子18歳)
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