「ぼくは じてんしゃに のれない」 いつもお父さんと練習するんだけど、なかなか上手く乗れない。この間だって、ひざを擦りむいたし。これから、また練習なんだけど、ちょっとこわい。
こんな子、たくさんいるよね。 自転車に乗りたいけど乗れない。本当は、こんなに空が青くて気持ちいい日にはサイクリングが最高だって思うのにね。
「へいき、へいき」あれ?どこからか誰かの声がしたような。今日はなんだかちょっと違うみたい。グラグラ、ヨロヨロ、フラフラ、ノロノロ、また転びそうになったその時!タイヤがにゅるっとのびて…… !?
ここからがこの絵本のすごいところ。普通のタイヤだと思っていた青い丸が、大きなゾウや音符、かいじゅうや大きなやじろべえと、次々に変身していき、それぞれが「ぼく」にイメージとアドバイスとなる言葉を残していくのです。「バランス バランス」「リズム リズム」「つよく つよく」…… 何がなんだかわからないけれど、何が起きているのかすぐには理解できないけれど。いつのまにか、それはだんだんと自転車を乗りこなすコツの真髄へとつながっていくのです。
すぐに自転車に乗れてしまう子というのは、案外こんなイメージが自然と出来ているのかもしれない。だけど、それを絵や言葉にして伝えてくれたことなんて、なかったはず!シンプルな絵と色と言葉だけなのに、すごく面白くて奥深い。
教えてくれたのは誰だろう…。 自転車だけじゃなくって、壁にぶつかった時や行き詰まった時にもきっと役に立ってくれるはず。ほら、遠くの空でにっこりしているよ。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
自転車に乗れないでいるすべての子どもたちへ贈りたい絵本です。主人公の男の子が聞く、ふしぎな声の主のよびかけに耳をかたむけ、「へいき へいき」「バランス バランス」「リズム リズム」「つよく つよく」…とペダルをこいでみれば、すぐにでも自転車に乗れるようになるかもしれません。その、いろいろに形を変えるふしぎな声の主はだれなのでしょう…? きもちのいい青空のもと、ぜっこうのサイクリング日和に読んでほしい1冊です。
自転車の練習をしている子の頭の中はこんなふうになってるのかもしれないですね。その表現力がとっても素敵で読みながら楽しい気持ちになりました。最初は怖いけどだんだんすいすいと乗れるようになっていく様子は誰もが一度は経験すること。その過程を丁寧に描いた一冊です。 (ouchijikanさん 40代・ママ 女の子8歳)
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