もともと「変わり者」であるが「ふつうの、ちょっとかわいい女の子」を装う月方穂木。もともと「お嬢様」であるが「悪魔少女」になりきっている斉藤陽菜。
陽菜は中2から、穂木は中2の途中から室町中学へ転校。たまたま二人は小学生の時の幼なじみ。中学は別々の学校だったが、二人ともいじめにあっていた。
穂木は、今度はいじめられないよう、浮かない服装や話題を研究する。その結果、クイーン赤坂萌奈グループとよい関係を築く。一方の陽菜は萌奈グループにいじめられ、その後、近寄りがたい「悪魔少女」に扮して彼女たちと距離を置くが、いつも穂木を応援する。二人は毎日、お弁当を交換するほどの仲になる。
ある日、陽菜は萌奈グループに、ある嫌疑をかけられたが、穂木はそれを許せず……。
ふつうでありたい、個性派でありたい……。誰もが思春期に悩むテーマを扱った、真逆を求める女子の成長物語。『なりたい二人』の姉妹編。
情報が豊富な時代だ。何か調べたいことがあればすぐに出てくる。
たとえば成績アップでも、自分の状況に合わせてカスタマイズすることだって可能。
その反面、息苦しさもある。選択肢が多い中どれを選択すれば浮かないのか。そんな時代を空気感のうまく取り入れながら、物語は進行していく。
新しい学校でリセットを願う穂木。先に転校しクラスで浮いた存在になった陽菜。クラスの空気を牛耳る萌奈。
女の子同士のつきあいの面倒くささ、クラスの中でどのグループにいていかにいじめられないかは、学校の中ですべての子どもが抱える死活問題。
ともすれば重くなりがちなテーマだが、読みやすくスピード感のある文であっという間に読め、痛快なラストだった。
YAジャンルだが、友だち関係に悩む高学年の女の子にもよさそうだ。 (はなびやさん 50代・ママ 男の子16歳)
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