知と物語の集まる場所、図書館。 しかし、それは本という形で集まるとは限らないようです。
司書である主人公は、「児童読書相談コーナー」の担当。 児童書に関する知識をもちい、利用者の相談に応じて本を提案するのが仕事です。 ところが、なぜだか彼の元にきた人は、相談のついでに不思議、奇妙なお話をしたくなってしまうようなのです。
シンデレラに出てくる魔法使いとねずみについて調べているという少女。彼女は、自分のおばあちゃんが魔法使いなのではないかと真剣に疑っていました。それはおばあちゃんのくれたハムスターがみせる、奇妙な現象のせいだというのですが――「シンデレラのねずみ」
過去のできごととびみょうに異なる内容の「奇妙な正夢」を見るという少年。その「奇妙な正夢」を見ると、過去に起きたはずことがなかったことになり、夢に見た内容が現実にあったこととして置き換わってしまうといいます。その話をきいて主人公が思い出した、彼自身が体験した怪奇とは――「少年の夢」
図書館司書である主人公に語られた奇妙な話を集めた短編集、「ビブリオ・ファンタジア」シリーズ第二弾。
「ルドルフとイッパイアッテナ」、「白狐魔記」シリーズで知られる斉藤洋さんの、ジャンル横断ぜいたく短編集です!
SFあり、魔法あり、都市伝説あり、メルヘンあり――
収録されたお話は、ジャンルもさまざまなら味わいもさまざま。
かわいらしい話、なんだかワクワクする話、ちょっぴりホロリとくる話。 そのどれも現実に起こったことと思えば、少しゾクッとさせる不思議さこそありますが、まあ怖いというほどでもありません。
ところが後半の2編は――
ゾクッ、どころか、ゾーッとして立った鳥肌が立ちっぱなし……。 怖い話が集まる場所といえばどこでしょう? 学校? 病院? いや、エレベーターも要注意……。
表紙とタイトルからは思いもよらないことですが、怪談、ホラーが読みたいという人にもオススメできる一冊です。
さてさて、今日はどんな不思議が図書館で語られることやら——
(堀井拓馬 小説家)
おかしなことに、わたしの顔を見るとみな、奇妙な話をしたくなるらしい。 図書館でアルバイトするわたしのもとに集まる、不思議な話とは?
「だいちくんのぴょんぴょんカエル」「ドッペルゲンガー」 「シンデレラのねずみ」「エレベーターのあやかし」「少年の夢」の5編からなる 図書館を舞台にした斉藤洋の奇譚集、第2弾。
「いきなりホラーは読めないけど、ちょっとぞわぞわするような不思議な話が読みたい」というリクエストがあったら、中学年以上の子供に紹介したい本。
直接、シンデレラは出てこないけれど、みんなが知っている童話がフックになっているのも読みやすいと思います。
のちのち、ホラーというジャンルに足を踏み入れるための準備本に近いような。
というのも、子供は大人が想像する以上に「怖い話」が好きです。読書の幅を、こういったジャンルで広げるのも良いように思います。
オチがきちんと用意されていないので、自分で想像するのも楽しそう。正しく、きれいに物語が完結するのを望むタイプには向かないです。
(だっこらっこさん 40代・せんせい 女の子9歳)
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