知識がつどい、物語がつどい、人がつどう場所。 しかし、そんな図書館には、不思議なものも、いざなわれてくるようです。 「児童読書相談コーナー」でアルバイトをする主人公。 彼のもとをおとずれる人々は、なぜだか、自分の身に起きた不思議な体験を語りたくなってしまうようなのです。
和服の美人を乗せたタクシー運転手。よくある怪談話とはちがい、乗せたのは真昼間だし、向かう先は小学校。なんのことはないお客だったはずなのですが、その足で実家に立ち寄った運転手は、彼女の意外な正体を知ることに。 ——『おつりはいらないよ』
童話『ヘンゼルとグレーテル』がきらいだという看護師の女性。彼女が体験した背筋も凍る不気味な現象と、そこにあらわれる白い鳥。自身の体験をもとに彼女が導いた、ヘンゼルとグレーテルの新解釈とは? ——『グレーテルの白い小鳥』
通夜や葬儀に出ると、そのあとまっすぐ自宅に帰ろうとしても、“帰ることができない”という男性。それというのも、帰路でかならず故人とゆかりのある場所に導かれてしまうからというのですが…… ——『おわかれ』 他2篇収録。
著者は、「ルドルフとイッパイアッテナ」シリーズ、「白狐魔記」シリーズで知られる斉藤洋さん! 図書館司書である主人公が語る、奇妙な話を集めた短編集、「ビブリオ・ファンタジア」シリーズ第三弾です。 前作からゾクゾク感アップ! 背筋が寒くなる話が勢揃い。 とはいえ、やっぱり怖いばかりではなく、ほっこりかわいらしい話に、、あたたかくやさしい物語も——
個人的なおすすめは、「グレーテルの白い小鳥」 ただでさえ怖さがひそんでいるグリム童話。 なのに、悲しさ100倍、怖さ100倍……そんな解釈はやめて…… 不思議な体験に耳をかたむけ、さあ、やさしくも恐ろしい非日常をあなたも体験してみませんか?
(堀井拓馬 小説家)
図書館の相談コーナーに集まるのは 人間ばかりではないらしい。 ついてくる足音、突然あらわれる小鳥、 そのむかう先は?
「マダガスカルヘビ」「おつりはいらないよ」 「グレーテルの白い小鳥」「和田トシキくんの友だち」「おわかれ」の5編からなる、図書館を舞台にした斉藤洋の奇譚集、第3弾。
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