明治期に海外から流入した広告ポスターは、我が国において即座に受容され、独自の発展を遂げた。戦前期の美人画ポスターにみられるように、印刷技術の発展と共に芸術品並みの作品が制作されるようになり、さらに経済活動の発達と共に代表的な広告メディアとして発達し、さらには戦争期の国威発揚ための大きな宣伝手段へと至った。 ポスターは広告物として消費されてゆくため、その価値はこれまで長く顧みられることなく一部の好事家の興味を引くだけであったが、近年その芸術的価値、また社会史的研究の対象としての意味が大きくクローズアップされている。 我が国屈指のポスターコレクションを誇る函館市中央図書館の蔵品を主に、そのような日本のポスター文化を類書にない規模で懇切な解説を加え紹介し、ヴィジュアルな基礎資料を提供する画期的大図鑑。
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