うちのおとうさんは こわい。
かおが、こわい。 こえが、こわい。 ても、こわい。 いつも ふきげんで こわい。
おとうさんの「こわい」は、まだ、ある。 それは こわいはなし。 おとうさんの こわいはなしは、ほんとうにこわい! でも、おもしろい!
おとうさんは、あたしたちを じろりとにらむ。 「いいか。これは、ほんとうに あった はなしだ――」
おとうさん、ちいさかった あたしが おかあさんに なったよ。
娘から見た、父親との思い出。 「こわい」でつむぐ、父親と娘のお話。
<かとうまふみさん この絵本にこめたメッセージ>
「おとうさんのこわいはなし」を、どうしてずっと書きたかったか、 考えてみました。
「怖いお父さん」が「こわい話」をするから子供達は『こわ〜〜い!』のである。 そして、うれしい。 だから、「怖いお父さん」のエピソードがなければ成り立たないと思っていました。
もちろん、その大前提はあるのです。 でも、それだけじゃないんです。
しんどい思い出も楽しい思い出も、別々じゃないというか、 切り離せるものじゃないんだなぁと。 善し悪しぜんぶひっくるめて、今回は受け入れたかったのだと思うのです。
どうしても絵が進まなかった時に、お父さんの故郷に行って、 母校に行ったり、話を聞いたりして。
その時に子ども時代のお父さんの寂しい気持ちがすーっと入ってきたような瞬間がありました。 あたし、お父さんのことなんにも知らなかったなぁと思って。
不思議とそのあと、絵が描けるようになりました。
表紙の、インパクトのあるお父さんの顔が気になって、読みたいと思いました。
強面で、声も大きく、いつもは黙っていて不機嫌そうなお父さん。
でも、見た目が「こわい」というはなしが大筋なのではなく、「こわいはなし」がとても上手なお父さんのお話なのです。
最近のイクメンパパとはちょっと違う、昭和なお父さん。でも愛情はたっぷりあるんですね。
懐かしい気持ちになれるお話。もしかしたら、大人向けの内容かもしれません。 (クッチーナママさん 40代・ママ 女の子17歳、女の子14歳、男の子11歳)
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