上野黒門町の紅葉屋。茄子紺の作務衣の千吉、新装の見世で花板に! 女将は元味比べの女料理人。品川の店を潰され今の地に。 跡取りの丈吉はまだ十歳で修業中、行く行くは花板に。 田楽と蒲焼きの店では……。
武士を捨て料理人となった磯貝徳右衛門は、神田横山町の旅籠付き小料理のどか屋の主。 時吉と名を替え、おちよとの間にできた息子千吉は十五歳になった。 祖父長吉の許で修業をしていた千吉に、縁あって“花板”の仕事が舞いこんだ。 品川宿で田楽と蒲焼きの店を地攻めにあって潰された紅葉屋が、上野黒門町で再興できたのだ。 跡取りが十歳のため、つなぎの花板の役が来たのだ。
************************本書に登場する小料理 **************************** ・ 茸の炊き込みご飯 ・ 南瓜の印籠煮 ・ 蛸大根 ・ 鯛飯 ・ しめ鯖の辛子和え ・ 白魚と三つ葉のかき揚げ ・ 鮎の背越し ・ 銭鰹 ・ 山独活の三種漬け ・ 寒鰤の串焼き ・ 黒豆の長老喜添え *****************************************************************************
◆ 著者について 倉阪鬼一郎 くらさか・きいちろう 1960年、三重県伊賀市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。印刷会社勤務を経て1998年より専業作家。 ミステリー、ホラー、幻想、ユーモアなど、多岐にわたる作品を精力的に発表する。 2008年「火盗改香坂主税 影斬り」(双葉文庫)で時代小説家としてデビュー、好評を博す。
|