ちょっと想像してみてください。 全然知らない国の、知らない学校に、初めて向かい合う時のことを。 知らない言葉で話す、知らない子ばかりの教室の席にすわっている時間のことを。
ランカは遠い国から日本の小学校にやってきた10歳の女の子。 足がガクガク、息がとまりそう。 まるで、地球にひとりぼっちの気分……。
日本の小学校は不思議なことだらけ。 玄関で靴をはきかえたり、体育の時は同じ服に着替えたり、給食があったり。 一生懸命となりの席の子の真似をするけど、目がまわりそう。
ああ、自分の国にいた頃みたいに、木に登って遊びたいな。 ランカが学校の校庭にあった大きな木に登りはじめると、誰かが足を引っぱった! どうしてそんなことするの!?
松成真理子さんの描く、優しい色彩と表情で展開されていくこの絵本。ランカがどこの国の子かはわかりません。だけど、ランカの目線になってみると、その不安が痛いほどよく伝わってきます。言葉がわからないことはもちろん、気持ちを伝えられないっていうことが、どれだけ子どもたちを心細い気持ちにさせているのか。コミュニケーションを困難にしているのか。クラスメイトの男の子だって、実は同じ気持ちになっていたのです。
この物語を書いたのは、実際に日本語が母語ではない子どもたちの学校に出向き、25年も日本語を教えて続けられている野呂きくえさん。目的は、その子がクラスメイトと教室で一緒に学べるようになること。そして、一番大切にしているのは、その子が楽しんでいるかということなのだそう。そうやって、誰かが一人でも気にかけてくれていたなら、どれだけ心強いことでしょう。言葉を超えたところで通じ合う子どもたちの姿に大切なことを教えられるようです。
この絵本は、言葉のわからない子どもを受け入れる側である、日本の子どもたちに向けて描かれたもの。ですが、日本語を学び始めの子にも読めるよう、すべてひらがなの文章になっています。多くの子どもたちが、この絵本を通してクラスメイトと笑いあえる日がくることを願わずにはいられません。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
主人公のランカは、花や緑あふれるふるさとの国から日本にやってきた10歳の女の子。日本語はまったくわかりませんが、日本の小学校に入ることになりました。下駄箱で靴を履き替えたり、体操服に着替えたり、給食があったり……と、ランカが行っていた学校とはちがう毎日にランカは一生懸命ついていこうとするのですが、ある日、ふるさとを思い出して木登りをしたとき、クラスメイトの男の子に足をつかまれて、「なんでひっぱるの」の思いで胸がいっぱいになり、泣き出してしまいます。するともう一人泣きだした子がいました。足をつかんだ男の子です。二人はまだ言葉は十分に分かりあえませんが、このとき、なにかがランカに伝わりました。 主人公ランカのふるさとがどこの国かは明示していません。この絵本は受け入れる側にいる日本のこどもたちに届けたい一冊ですが、日本語を学び始めの子にも読めるよう、文章はすべてひらがなにしています。
海外からやってきた女の子ライカ。
初めて通う日本の小学校に緊張で足が震え、
学校生活では、室内で靴を脱いだり、体操服に着替えたりと、母国とは違うことばかりで戸惑い。
大人でも不安になりますよね。孤独になりますよね。
だけど、そんなライカを実はクラスメイトが気にかけてくれていたのが、とても感動的でした。 (tori.madamさん 30代・ママ 女の子7歳、女の子4歳)
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