滋賀県と岐阜県の境にある山の麓の集落に、一軒だけ残っている養蚕農家。 お蚕さんを育て、その繭から糸を取る。それが生糸になり、真綿にもなります。 人間本来の生活の営みや、生き物の命を衣食住にいただいていることを伝えます。
2020年刊行。滋賀県と岐阜県の境にある養蚕農家を取材した写真絵本。桑畑の手入れ、小さいお蚕さんがどんどん大きく育っていく様子、繭作り、糸をとる仕事、真綿を作る仕事、お寺での虫供養。
どれも昔から人々が行ってきた、大切な仕事。
絹は、蚕の繭からできているが、どうやって繭から糸にしているかは知らなかった。ここで初めて知ったが、繭になったお蚕さんが、蛾になって飛び出す直前に、繭を乾燥させて命を絶つという。
お蚕さんは、食べるだけ食べて、何も心配なく平和に暮らして、繭になったところで生涯が強制終了させられる。
繭1つから糸をとるのではなく、繭20個が1本の糸となって撚られていく。絹とは、たくさんの命が犠牲になって出来上がる布地だった。
人間が生きるために、多くの家畜の命を頂いている。
食べるため、着るために、仕事のために、たくさんの生き物が一つしかない体を投げ出して助けてくれている。
最後に、命を頂いたたくさんのお蚕さんのための「虫供養」が行われる場面があった。昔の人は、ちゃんと「自分たちのために、生き物が死んでくれた」とわかっていた。
その祈りが尊いと思った。
だからなんでも大事にしなければならない。
大人も読んだらいい本だと思う。 (渡”邉恵’里’さん 40代・その他の方 )
|