「心も浮き立つような、古関裕而作曲のオリンピック・マーチが鳴り響きます」 と、アナウンサーが発した実況中継の第一声。 「報われた」 その思いはあったと思う。 アジアではじめてのオリンピック。 日本の作曲家を代表してその入場行進曲を作るということは、生涯5000曲以上の作品のなかでも特別の意味をもつ。 青空の下、自分の曲に乗せて世界中から集まった選手たちが行進し、5万人を超える観衆が曲に合わせて笑顔で手拍子する。作曲家冥利に尽きる。 この素晴らしい瞬間を目にしたことで、これまでの生みの苦しみの苦労が報われた。 また、片田舎で将来の不安に怯えながら独学した日々、ヒット曲に恵まれなかった苦悩、それもこれも、この瞬間で報われた……。
2020年春放送開始の、朝の連続ドラマで昭和を代表する作曲家・古関裕而が取り上げられます。音楽で人々を励まし、波乱万丈の人生をコンパクトな1冊の文庫で紹介します。 この本を読んで、ぜひ、自分への応援歌にしてください。
|