満洲事変、日中戦争、幻の東京オリンピックから、1964年東京オリンピックへ――
激動の時代、日本の近代スポーツの影には、福岡から東京、アメリカ、中国、満洲へと数奇な人生をたどった岡部平太という人物がいた。マラソン選手・金栗四三との友情、日本スポーツ界に絶大な影響を持った嘉納治五郎との対立、スポーツを通じた中国との文化工作、満洲・中国・日本の友好の夢……岡部の軌跡から、スポーツとは、政治とは、国交とは、人間とは何かをあぶりだす。
【目次】
一 福岡 (1)生い立ち (2)「生まれついての試合好き」 (3)福岡師範学校にてスポーツに没頭 (4)久留米高等小学校教諭時代の失望
二 東京 (1)「天狗現わる」 東京高等師範学校一年生 (2)人生への迷い東京高等師範学校二年生 (3)禅の日々 東京高等師範学校三年生 (4)不敗全勝 東京高等師範学校研究科
三 アメリカ (1)職業スポーツへの嫌悪 (2)アメフトと出会う (3)恩師・スタッグ
四 東京・水戸 (1)理想を抱いて 東京高等師範学校講師 (2)講道館との訣別 サンテル事件 (3)「岡部先生万歳」 水戸高等学校講師
五 満洲 (1)満鉄入社 (2)パリオリンピック (3)極東選手権競技大会退場事件 (4)各種スポーツの振興 (5)スケートで世界に挑む (6)日仏対抗競技 (7)中国人との交流 (8)スポーツと体育 (9)満洲事変 (10)満洲国極東選手権競技大会参加問題 (11)満洲国と東京オリンピック
六 天津・北京 (1)天津での文化工作 (2)東京から北京へ (3)二つの国際競技会 (4)新たな体育の模索 (5)戦時中に学問を志す (6)平一の死、そして帰郷 ほか
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