【東西哲学界の雄が、全体主義から世界を救い出す!】
全体主義の渦に、再び世界は巻き込まれようとしているのではないか。 日独ともに哲学は、二〇世紀の全体主義に加担してしまったが、では次なる全体主義の台頭をいかに阻止すればよいのか。 その答えを出そうとしているのが、マルクス・ガブリエルだ。 彼の「新実在論」は、全体主義の礎を築いたドイツ哲学を克服するために打ち立てられたものだったのだ。 克服にむけてのヒントは東アジア哲学の中にあるという。 本書は、東西哲学の雄が対話を重ねて生み出した危機の時代のための「精神のワクチン」である。
「上から」の力によって、民主主義が攻撃されているわけではありません。 民主主義を破壊しているのは私たち自身なのです。 市民的服従が、あらたな全体主義の本質です。 ――マルクス・ガブリエル
【おもな内容】 第1章 全体主義を解剖する デジタル全体主義の時代/テクノロジーの「超帝国」 第2章 ドイツ哲学と悪 全体主義をもたらした悪とは何か/カントの悪のパラドックス 第3章 ドイツ哲学は全体主義を乗り越えたのか ナチスを支えたドイツ哲学/ハイデガーの「黒ノート」/ハイデガーと京都学派 第4章 全体主義と対峙する新実在論 仏と一角獣の新実在論/「超限」とは何か 第5章 東アジア哲学に秘められたヒント 中国思想のなかの「存在論」/中心のある「普遍性」を疑う 第6章 倫理的消費が資本主義を変える グローバル資本主義の不安定性/倫理的消費が安定を作る 第7章 新しい啓蒙に向かって 「一なる全体」に抗するために
【著者略歴】 ■マルクス・ガブリエル 1980年生まれ。2005年に後期シェリングをテーマにした論文でハイデルベルク大学より博士号取得。 2009年に権威あるボン大学哲学正教授に史上最年少で抜擢。 「新実在論」を打ち立て、世界的に注目を浴び、『なぜ世界は存在しないのか』が哲学書としては異例のベストセラーに。 ■中島 隆博(なかじま・たかひろ) 1964年生まれ。東京大学東洋文化研究所教授。北京大学をはじめ各国大学との共同研究教育プロジェクトである東京大学東アジア藝文書院院長。 専門は中国哲学、世界哲学。西洋哲学の手法を用いた中国哲学の再読で高い評価を得る。 『共生のプラクシス――国家と宗教』で和辻哲郎文化賞受賞。
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