ぴいこちゃん、学校の帰り道に何だか不思議ないきものを拾ったよ。目がギョロっとしていて、真っ黒。子犬みたいだけど……なんだか違うような。
「この子のおねえちゃんになる」
すでに心に決めているぴいこちゃんに対して、ママもパパも反対はしません。だけど、綺麗に洗ってみると、これはなんと「つちのこ」! え、あの? 幻の? どうやって飼うの? 読者のとまどいをよそに、ぴいこちゃんはすぐに「つちんこ つっちゃん」と名前を付け、家族みんなでお世話を始めます。
つっちゃんの習性は謎だらけ。なんでも食べるし、きれいな声で歌い出したと思うと、今度はおもらし!? お散歩に行けばみんなの視線をひとり占め。振り回される家族だけれど、みんなとっても楽しそう。だけどある日…。
大人気石黒亜矢子さんの絵本に登場するいきもの達は、いつだって個性的。だけどこの「つっちゃん」の存在感はずば抜けています。だってだって。
「バーーン」
と出てきた、つっちゃんの顔ったら!でも、この絵本を通して読んでいると、だんだんとうらやましくなってくるのも本当。それはきっと、どんな存在も平等に受け入れ、家族の一員として迎え入れてしまう、ぴいこちゃん家族と石黒さんの大きくあたたかな姿勢に、こちらの心まで包まれてしまうからかもしれませんね。(猫とたわむれるつっちゃんの姿も必見です)
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
学校の帰り道、ぴいこちゃんがみつけた不思議ないきもの。さて、このいきものは…??パパ、ママ、ねこたちまで、家族みんなで「つちんこ つっちゃん」のお世話がはじまりました。 妖怪や猫のイラストで大人気の作家、石黒亜矢子さんが新たな世界を切り開いた絵本です。
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