友だちの女の子から招待状をもらった、のらねこのプー。 「わあ。おたんじょうびの パーティに いらっしゃいって。」 「こんなの、ぼく はじめて。どうしたら いいのかしら。」 顔を手で覆って、喜びと戸惑いでいっぱいのプーです。
仲良しのたまみさんに相談すると、たまみさんは「あら、そんなの! なんにも かんがえずに いったら いいのよ」 その日はそれだけで、たまみさんは行ってしまいますが、やっぱり緊張するプーは、翌日もたまみさんをたずねます。
「ぼくが いちばん しんぱいなのは……ぼくが はだかんぼうだって こと。ねえ、どうしたら いい?」 「プレゼントを もっていかなくちゃ。どうしよう……」 プーの悩みを、たまみさんは「あら、そんなの!」と吹き飛ばしながら準備を手伝ってくれます。
たまみさんがあっという間にドレスを作っちゃう、アイデアや手際のよさが素敵。 そしてプーが“初めてのご招待”にドキドキしながらも、いっしょうけんめいなのがかわいい! 準備万端だけれど、いざ当日にお腹がしくしくするプー……。 それでも勇気を出して“初めてのご招待”へ向かうプーに、読者は励まされるに違いありません。
子どもが手元でめくるのにちょうどいい、小さめサイズの絵本。 高橋和枝さんが描くやさしいタッチの線画に、日常の細やかな葛藤と、ほのかなユーモアが漂います。 緊張のあまりしょんぼりするプーの姿は(まるでいつかの自分のように)リアルだし、「あら、そんなの!」というたまみさんの“おまじない”から読者もパワーをもらえるはず!
“初めて”がいっぱいの子どもはもちろん、“初めて”にちょっぴり臆病になった大人たちへも贈りたい絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
のらねこのプーは、初めて人間のお誕生日パーティーに招待されました。うれしいけれど、服もなくてはだかんぼうだし、プレゼントできるものもないし、どうしよう……と、悩んでしまいます。そこで、ともだちのたまみさんのところへ相談をしに行ってみると、たまみさんは素敵な提案をしてくれました。プーもひと安心。でも、準備万端で迎えたパーティーの日の朝、なんだか胸はドキドキするし、お腹はしくしく痛むし、で、またプーの気持ちが落ち着かないのです。さあ、どうしたらよいでしょう……。楽しみだからこその緊張感という誰にでもある心の動きを繊細に捉えて軽やかに描き出した絵本です。初めてのことに挑戦するだれかへの贈り物にも!
『うちのねこ』や『2番めにすき』など、高橋和枝さんの描くねこの絵がとてもキュートで好きなので、こちらも読みたいと思いました。
初めて誕生日パーティに誘われ、あれこれ悩むのらねこのプーを、たまみさんが「あら、そんなの!」と、なんてことないよと励ましてくれます。
初めての不安な気持ちがふっと軽くなりそうなおはなし。大人の方にもおすすめです。 (クッチーナママさん 40代・ママ 女の子18歳、女の子15歳、男の子13歳)
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