生き残った人類は宇宙船で難民のように生きていた。 荒廃した地球を脱出した人類の唯一の希望は数千年前の遺産――。
地球の終わりを予測した人類は新たなプロジェクトを進めていた。 惑星を改造し、地球の生物とその知能強化をうながすナノウイルスを送り込むテラフォーミング計画だ。 ドクター・カーンが担当する惑星では、数十世紀後に進化した猿たちが地球の文明を引き継ぐはずだった。 だが、その計画を人類への冒?だと考える過激派の妨害により、カーンのプロジェクトは失敗してしまう。 辛くも難を逃れたカーンは、いつか地球から救援隊が来ることを願い、救援信号を送りながら監視ポッドで人工冬眠に入る。 妨害工作により全滅した猿たちのかわりに、ナノウイルスが進化させる宿主として選んだのは蜘蛛だった。 蜘蛛たちは狩猟の腕を上げ、言語を覚え、共同体を作り、文明を発展させてゆく。 天の光を仰ぎ見ながら――。 2016年度アーサー・C・クラーク賞受賞作。
|