祇園祭が年2回、そして冬に行われた時代があった!? 先行するイメージを問い直し、複雑なその実像に迫る――。
紙芝居や小説・映画を通じて祇園祭に託された「権力に抵抗する民衆の祭」というイメージは、はたして実態に合うものなのか。
紙芝居など創作物の題材である戦国期の祇園祭(祇園会)にスポットを当て、室町幕府や延暦寺との関係、そして神輿渡御・山鉾巡行を担う都市民の姿、乱世の煽りを受けて式日が混乱を極めていく様子を、当時の政情や政教関係を踏まえて描く。
イメージと史実を比較し、中世都市祭礼たる祇園祭のリアルに迫った労作。
【目次】 はじめに 第一章 イメージとしての祇園祭 1 紙芝居「祇園祭」 2 小説『祇園祭』と映画『祇園祭』 第二章 天文二年の祇園祭 1 天文元年〜二年六月の政治状況 2 天文二年の祇園祭 第三章 室町幕府にとっての祇園祭 1 祇園祭の再興 2 幕府と祇園祭 第四章 延暦寺大衆にとっての祇園祭 1 日吉社の祭礼と祇園祭 2 延暦寺大衆と祇園祭 第五章 神輿と山鉾の祇園祭 1 神輿渡御 2 山鉾巡行 おわりに 関連略年表/図版出典一覧/あとがき/文庫版あとがき
※本書は2007年に角川学芸出版より刊行された書籍の文庫改訂版です。
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