今日は大雨。雨の音がちょっぴりこわかったぼくは、テレビをつけて料理番組を見ています。「わあ。おいしそうだな。おなかがへってきちゃう」料理を作ってもらおうとお母さんを呼んでみますが、返事がありません。すると「ぽたん」と、天井から雨が落ちてきます。お気に入りのマグカップで雨もりの水を受け止めてほっとしたのも束の間、今度は「ぱらぱらぱらぱらー!」なんとお米が落ちてきて……。
縦に開いて上から下へと読み進める、ちょっと変わったスタイルの絵本です。場面が縦に長く広がって、落ちてくる様子をより際立たせています。次から次へといろんなものが天井から降ってくるシーンは迫力満点!とてもドラマチックです。
作者のはっとりひろきさんは、建設機械及びフォークリフトの整備士として勤める傍ら、絵本作家を目指したという異色の経歴を持つ作家さん。子供の頃、台風が来ると天井から雨もりしてくることがあったそうで、その実体験がもとにこのお話が生まれました。「どんなときも、楽しんで過ごせたらいい」そんな思いからできたユーモアいっぱいの作品です。
さて、この不思議な雨もりは、どんなふうにおさまるのでしょうか?はじめのシーンから繋がっていたんだ!とうれしくなる展開です。まさにタイトルにぴったりの「おいしいあまもり」になったようですよ。雨の日にお家にいるのが楽しくなる1冊、ぜひ親子で楽しんでください。
(出合聡美 絵本ナビライター)
今日は大雨。こんな日は、天井から雨漏りすることがあるんだ。でも、落ちてくる物は雨だけじゃないよ。それは、おいしいおいしい雨漏りだったんだ。
|