「きりんは、かたつむりからトースターをもらった。でも、いなかそだちなもので、つかいかたがわからない。それで、にんげんのところへききに行った」 こんな風に語られる、きりんの日常を語る15のおはなし。どれも、大事件が起こるというものではありませんが、何気ない日常の中の、きらめきややわらかな幸せがそこにはあります。
作者は『ものすごくおおきなプリンのうえで』(教育画劇)で日本絵本賞大賞を受賞するなど、多くの絵本賞を受賞している二宮由紀子さん。二宮さんはインタビューで「大の仲良しじゃなくって、通学途中で出会う友だちとか、近所ですれ違って手を振る友だちみたいな、ちょっと自由な楽しい関係、風通しのいい関係、そういうのが描けるといいなと思いました」と語っています。ユーモアに包まれた毎日の大切さを教えてくれる作品です。
このやわらかなおはなしにぴったりの挿絵を描くのは、造園家としても活躍するイラストレーターの大野八生さん。全ての見開きページにカラーのイラストが載っていて、優しくユーモラスなイラストをたっぷりと楽しむことができます。大野さんの描く花や緑の風景はもちろん、きりんやカエルやカメレオンなど生き物の表情も魅力的で、何度も見返したくなるページばかりです。
短いお話がたくさん入ったお話なので、どのお話から読んでも楽しめます。小さいお子さんもちょうど読みやすい量ではないでしょうか? 1日に1話ずつ読むというのもいいかもしれません。また、大人の方にもおすすめしたい1冊です。すきま時間に手にとってページをめくれば、ちょっとしたリラックスタイムになりますよ。
(出合聡美 絵本ナビライター)
あこがれの海に行ったり、風をよける穴をほったり、時に逆立ちを習ったり、ひとりでかくれんぼをしたり――。 きりんと、きりんのことが大好きな仲間たちの、ユーモアあふれるお話15編。 読み聞かせにも、ひとり読みにも、プレゼントにもおすすめです。
◎ユーモラスなお話が15編
◎たっぷり64p、オールカラー
◎すべての見開きに楽しいイラスト
◎絵本と読み物のあいだの本
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