「おっぱい だれの おっぱいかな?」……体の割に小さなゾウさんのおっぱい、子どもがいっぱいのネズミさんやブタさんの、たくさんのおっぱい……。いろんなあかちゃん、いろんなおっぱい。みんなおっぱいを飲んで大きくなります。
そうそう、ぼくだって……。やわらかくてあったかいお母さんのおっぱいは、ぼくが飲んで大きくなった、ぼくの大好きなおっぱいだけど……。 弟が生まれて、おっぱいをとられたお兄ちゃんの複雑な心。もうお兄ちゃんだから、「ぼくの!」と大声では言えないけど、でもやっぱり好きな気持ちが伝わってきます。
1990年に刊行された、絵本作家・宮西達也さんの代表作の1つ『おっぱい』がリニューアル。読み聞かせのとき子どもたちがおっぱいの絵を触りたがるので、ページがぼろぼろになってしまうというエピソードも聞かれたモニュメント的作品です。絵が全面的にくっきりと描き直され、「だれのおっぱいかな?」という語りかけや「パオー」「チューチュー」といった動物の鳴き声が加わり、よりテンポよくめくれる絵本になっています。
今まさにおっぱい中のわが子にも、卒乳したお兄ちゃんお姉ちゃんにも、「大きくなったね」の気持ちを込めて読んであげたい絵本。下の子が生まれて頑張っているお子さんには、やさしく抱っこして触れ合いながら、ぜひ読んでみてくださいね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
お母さんへの愛情がたっぷりつまった名作が、さらに読み聞かせにぴったりな内容に。作者が絵本作家として培ってきた経験を活かして、文章も絵も生まれ変わりました。「だれの おっぱいかな?」の問いかけから自然に母と子の会話が生まれ、絆を深めてくれる一冊となっています。
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