広島の郊外に、長く空き家となっている一軒の家。その庭の池に、長生きのかめが一匹、住んでいました。長いあいだひとりでいたせいで、かめは自分の名前さえ忘れかけていました。そんなある日、家に越してきた二年生のかえでちゃんと出会ったかめは、自分の名前が「まめ」であること、名前をつけてくれたまつこちゃんとその家族のこと、そして、ずっと心の奥底にしまっていた記憶を思い出します。それは、いま思い出しても心が破れそうに辛い、1945年8月の満月の日に起きたことでした……。
ひろしまに原爆が落ちた日と、その前後のまつこちゃんの家族の姿を、その時からずっと生きているかめのまめが現代を生きるかえでちゃんに伝えます。数十年前にまつこちゃんが体験した出来事と思いをかえでちゃんはどう受け取ったのでしょうか。さらにこの物語を手にする子どもたちはどう受け取ることができるのでしょうか。 戦争を描いたお話ではありますが、まめのゆったりした佇まいとかえでちゃんの素直なかわいらしさ、やさしいお庭の自然がやわらかな雰囲気をまとっていて、低学年の子でも気負いなく手に取っていただける物語です。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
広島の郊外に、長く空き家となっている一軒の家。その庭の池に暮らす長生きのカメには、かつて「まめ」という名前がありました。かえでちゃんの声を聞いたカメは、心の奥底にしまっていたことを思い出します。それは、いま思い出しても心が破れそうに辛い、1945年8月の満月の日に起きたことでした…。カメに名前をくれた女の子、まつこちゃんの家族に起きた悲劇を、現代を生きる、かえでちゃんに平和の願いを込めて語ります。
ひろしまの満月を読ませて頂いて、とても感動しました。これは何よりも奥深いお話です。私は最近、広島の方とご縁があり、仲良くさせて頂いていて、広島には特に関心がありました。この本は原爆について書かれていますが、人間とは何か、戦争とは何かについて考えさせてくれました。私はカメ、まつこちゃん、かえでちゃんが大好きになりました。いつまでも心に残る本だと思います。 (水口栄一さん 60代・その他の方 )
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