【ゲーム批評で読む現代社会】 コロナ禍の「おうち時間」によって急速な成長を遂げたゲーム産業。 米大統領選のキャンペーンに「どうぶつの森」が用いられたり、オリンピックの開会式にゲーム音楽が使用されるなど、その影響力は現実の社会にも及んでいる。 そうした状況を反映するかのように、世界中で支持されているゲームは、さまざまな問題の解決策を示している。 本書では大人気ゲームの読解を通して、陰謀論、分断、叛乱、新自由主義、家族といった重要なテーマを考え、理想的な社会のあり方を提示する。
【おもな内容】
第一章 ポストトゥルースと陰謀論 1 分断された人類ーー『デウスエクスマンカインド・ディバイデッド』 2 差別を経験するシミュレーターーー『ウィッチャー3 ワイルドハント』 3 情報操作に対抗する個の覚醒ーー『ペルソナ5』
第二章 分断を超えるために 1 対話と理解の重要性ーー『VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action』 2 人々を「つなぐ」必要性の体感ーー『DEATH STRANDING』
第三章 革命と叛乱のジレンマ 1 暴力的な叛乱か、芸術的な抵抗かーー『Detroit: Become Human』 2 テクノロジーによる管理からの解放は可能かーー『The Stanley Parable』 3 いかにして反抗を正しく導くかーー『ライフイズストレンジ』
第四章 新自由主義の終わり 1 「他者化」「非人間化」に抵抗するためにーー『The Last of Us Part II』 2 「選択と集中」の痛みを描くーー『イースVIII Lacrimosa of DANA』 3 原暴力への贖罪と、宗教的実存への移行ーー『レッド・デッド・リデンプションII』
第五章 家族と生命の神話 1 レトロトピアの誘惑ーー『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』 2 自然や故郷を破壊するエネルギー産業とどう対峙すべきか ーー『ファイナルファンタジVII』『ファイナルファンタジVII リメイク』 3 思いどおりにならない存在と共存する訓練ーー『ゴッド・オブ・ウォー』 4 世界を愛する気持ちをーー『Horizon Zero Dawn』
【著者略歴】 藤田直哉(ふじた なおや) 批評家。日本映画大学准教授。1983年、札幌生まれ。東京工業大学社会理工学研究科価値システム専攻修了。博士(学術)。著書に『虚構内存在』『シン・ゴジラ論』『攻殻機動隊論』『新海誠論』(作品社)、 『新世紀ゾンビ論』(筑摩書房)、『娯楽としての炎上』(南雲堂)、『シン・エヴァンゲリオン論』(河出新書)、『百田尚樹をぜんぶ読む』(杉田俊介との共著、集英社新書)ほか。
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