「させていただく」は正しい敬語? 意識調査とコーパス調査で違和感の正体が明らかに。現代人は相手を敬うためでなく、自分を丁寧に見せるために使っていた。明治期、戦後、SNS時代、社会環境が変わるときには新しい敬語表現が生まれる。言語学者が身近な例でわかりやすく解説!
「させていただく」の研究書で異例のヒットを記録した言語学者が、身近な例でわかりやすく解説
相手への敬意より自分のために敬語を使っていた ・使われるうちに敬意がすり減る「敬意漸減の法則」 ・敬意のインフレーション」で敬語がてんこ盛りに ・「上下関係」よりも「距離感」を重視している
「させていただく」の〈使用拡大〉と〈慇懃無礼な印象〉という矛盾した両面の謎を語用論のアプローチで解き明かす。
【目次】 第一章 新しい敬語表現――街中の言語学的観察 -「免除させていただきます」 -愛されるタメ語キャラと毒舌キャラ -サザエさんは「させていただい」てない 第二章 ブームの到来――「させていただく」の勢力図 -新しい敬語のお仕事 -敬意漸減の法則 -遅れてきた「させていただく」 第三章 違和感の正体――七〇〇人の意識調査 -敬語の「乱れ」は変化の兆し -違和感を左右する三つの要素 -最大の要因は「聞き手の存在」 第四章 拡がる守備範囲――新旧コーパス比較調査 -距離感が二極化している -政治家は「させていただく」をよく使うのか -合理化か貧困化か 第五章 日本語コミュニケーションのゆくえ――自己愛的な敬語 -「させていただく」は関西発祥なのか -「表敬」から「品行」へ -そして他者はいらなくなった おわりに -「させていただく」はコミュニケーションの変化を示す指標 ほか
|